合言葉は「89信」…都小山台 春準V東海大高輪台下す 

[ 2012年7月21日 06:00 ]

<都小山台・東海大高輪台>勝利し、歓喜の都小山台ナイン

東東京大会5回戦 都小山台4―2東海大高輪台

(7月20日 神宮)
 第94回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は、13大会で50試合が行われた。東東京大会では都小山台が今春準優勝の東海大高輪台を4―2で破り、3年ぶりに8強に進出。北北海道大会決勝では旭川工が遠軽(えんがる)を下し、05年以来7年ぶりの甲子園出場を決めた。21日は43大会で272試合が行われる。

 まるで優勝したかのような喜びようだった。2点差とされた9回、2死満塁と一打同点のピンチ。比嘉が三邪飛をがっちりとつかむ。今春の準優勝校を破り、09年以来の8強進出に福嶋正信監督は「やりました!」と興奮を隠せなかった。

 同点の6回に2本のタイムリーで3点を勝ち越した。4回途中から1失点の好救援をみせた松尾は「自分たちでも強豪に勝てる。片倉や日野の頑張りが頭をよぎり、ひるまない気持ちで抑えることができた」。西東京で8強入りを決めている同じ都立勢の活躍を引き合いに出し、胸を張った。

 大会前、マネジャーを含めた89人の部員全員で立てた目標がある。「89信(やくしん)」。全員を信じ、みんなで躍進していこうという意味が込められている。「ピンチの時は必ず思い出し、ベンチ、スタンドが一体になって乗り切ることができた」と清水主将は誇らしげに話した。

 都小山台のベンチとスタンドには遺影が掲げられていた。06年6月3日、エレベーター事故で野球部員だった市川大輔(ひろすけ)さん(当時2年)が亡くなった。「市川さんを甲子園に連れていく」。練習前、試合前には黙とうをささげるなど、あの日以来、都小山台ナインの思いは受け継がれている。市川さんが生前、野球日誌に書いた「当たり前のプレーを当たり前にする」との言葉は、今でもミーティングで確認し合っているという。福嶋監督は言う。「大輔を全国の舞台に連れて行きたい」。初の甲子園まであと3勝。チームの「躍進」を支えているのは市川さんの存在なのかもしれない。

 ◆市川さんのエレベーター事故 06年6月3日、東京都内のマンション12階で市川さんがドアに挟まれたままエレベーターが上昇し、頭の骨を折るなどして約2時間後に死亡した。エレベーターの製造元は「シンドラーエレベータ」。同マンションではエレベーターが正しい位置に止まらなかったり、乗った人が閉じこめられたりするトラブルが頻発していた。

続きを表示

2012年7月21日のニュース