「完ぺき」阿部、試合決定付ける3ラン

[ 2010年8月21日 19:59 ]

 【巨人8―3阪神】1球前に空振りしたスライダーが、甘く、高く入ってきた。手応えは「完ぺき」。踏み込む右脚を痛めていることを感じさせない当たりが、右中間スタンド深くへ吸い込まれる。巨人は5―3の七回、故障を押して出場する阿部の3ランで試合を決定付けた。

 巨人が得点したのは二、六、七回。そのすべてに阿部が絡んだ。0―1の二回には右翼線へ鋭い安打を放ち、2得点の起点に。再び1点をリードされて迎えた六回は、1死から四球で出塁し、脇谷の逆転打を呼び込んだ。そして七回。6試合ぶりに先発出場した前日に続く一発だ。
 守っては、先発の福田が弱気になっているとみるやマウンドへ歩み寄り「思い切ってこい」。主将としてのリーダーシップも、巨人の逆襲には欠かせない要素だ。
 復帰とともにチームは連勝。この阪神3連戦で2敗すると自力優勝がなくなるという正念場だったが、逆に1ゲーム差に詰め寄った。負傷した右ふくらはぎは万全ではなく「試合に出る以上、今出せる力を出さなきゃいけない」という言葉には悲壮感さえにじむ。だが、その「今出せる力」でさえ、かくも大きいということを、まざまざと示す働きだった。

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2010年8月21日のニュース