ヤンキース幹部、極秘来日!超異例のダル視察

[ 2010年8月21日 06:00 ]

ダルビッシュをチェックするヤンキースのエプラー・プロスカウト部長(左)とオッペンハイマー球団副社長

 世界一球団がついに本腰を上げた。ヤンキースのビリー・エプラー・プロスカウト部長(35)と、アマチュア部門を統括するデーモン・オッペンハイマー球団副社長(48)が20日、札幌ドームを訪れ、今オフにもポスティング・システム(入札制度)でのメジャー移籍の可能性がある日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)の投球を視察した。スカウト部門のトップ2人が、米国外の選手をそろって視察するのは極めて異例のこと。日本球界のエース獲りへ、ヤ軍が最終検討段階に入った。

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 バックネット裏の最前列に陣取り、ダルビッシュが投じる一球一球に熱視線を送った。ヤ軍のエプラー・プロスカウト部長とオッペンハイマー球団副社長は前日に極秘来日。この日の視察後、エプラー部長は「球団のポリシーなので何も話せない」と語るにとどまったが、あるメジャー関係者は「彼らはキャッシュマンGMのいわば右腕で、選手の評価に関しては全幅の信頼を置かれている。2人がそろって日本に行くのは極めて異例で、ヤンキースにとって最重要事項であることを意味する」と証言した。
 「最重要事項」とは、ダルビッシュ獲得に向けた調査であることは明白だ。今回来日したのは、国際担当ではなく、本来は米国内の選手を管轄するプロ部門とアマチュア部門のトップ2人。ヤ軍は今年3月27日のロッテ戦(千葉マリン)などこれまでも複数のスカウトがダルビッシュの登板試合を視察しており、報告を受けた球団が最終チェックの目的で両氏を派遣したとみられる。
 エプラー氏は35歳と若いが、ヤ軍のFAやトレード戦略の中心を担っている。ヤ軍は08年オフに総額約400億円を投じ、主砲ティシェイラとサバシア、バーネットの両投手を獲得し、09年の世界一につなげたが、この3選手獲得を進言したのが、同氏といわれている。もう一人のオッペンハイマー氏はドラフトの総責任者で、これまでもチェンバレンら有望なアマチュア選手を次々に獲得している敏腕だ。
 ヤ軍はこれまで伊良部、松井秀、井川らの日本人選手を獲得してきたが、長期にわたって活躍したのは松井だけ。06年オフには同じくポスティングでのメジャー移籍を表明した松坂の獲得にも動いたが、ライバル球団のレッドソックスに奪われた。このため近年は国際部門をより強化し、スカウトシステムを改革している。
 ダルビッシュがポスティング・システムによるメジャー挑戦を宣言した場合、ヤ軍以外にもマリナーズ、レンジャーズなどが獲得に動くのは確実だ。大リーグ関係者はダルビッシュの入札額について「松坂の金額は非現実的だが、3000万(約25億5000万円)~4000万ドル(約34億円)ぐらいいくのでは」と予想。高額のため争奪戦に参戦するのは5球団前後とみられているが、その中でも圧倒的な資金力を誇るヤ軍だけに今後の動向が注目される。

 ◆海外移籍するには 海外移籍が可能なFA権は9年(1年は145日の出場選手登録)で取得できる。ダルビッシュは昨年までの1軍出場登録日数は4年93日で、海外FA資格を得るのは最短でもあと4年と52日、2014年シーズンとなる。一方、所属球団の承認を経て米球界入りを希望する日本選手の交渉権を、大リーグ球団が入札で得るポスティング・システムがある。最高入札額が日本側に通達され、日本球団が受諾すれば、最高額の大リーグ球団が独占交渉権を獲得する。

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2010年8月21日のニュース