魂の670球…投げ抜いた中川、視線の先は「プロ」

[ 2010年8月21日 06:00 ]

敗戦に涙を流す成田・中川(中央)

 【準決勝 成田7-11東海大相模】最後まで投げ抜く。それが真のエースだと信じていた。中川は一人で成田のマウンドを守り、そして力尽きた。

 「エースは一人で投げるもの。マウンドを降りてはいけない。そういう思いがあった」
 体が重い。思うように動いてくれない。得意のスライダーは切れず、直球を狙い打たれた。3回まで3失点。一度は味方打線が逆転してくれたが、リードを守りきる力はもうどこにも残っていなかった。「5回ぐらいから、どこに投げていいか分からなくなった」。東海大相模の強力打線の重圧が、中川から気力も体力も奪っていた。
 19安打を浴び、11点を失った。でも、尾島監督から「代わるか?」の打診に「行けます」と言い続けた。昨夏の千葉大会5回戦(対千葉黎明)、6点リードの最終回に7失点で大逆転負け。昨秋も今春も県大会2回戦で負けた。悩んで苦しみ、はい上がった。尾島監督は「想像以上に成長してくれた」と言った。
 準決勝まで5試合すべて完投。魂の670球を投げきった。古豪復活を告げる58年ぶりのベスト4。中川は前を向いて言った。「プロ志望届を出したい。監督と相談します」。次のステージでも必ずエースになる。

 ▼ロッテ・唐川 甲子園に出た時点で凄いなと思っていた。ここまで勝っていろいろなところで母校の名前が出るのがうれしかった。中川君は今は疲れていると思うし、まずは休養をしっかり取ってほしい。本当に勇気をもらいました。

続きを表示

2010年8月21日のニュース