じわり5差!小笠原ミラクル呼ぶサイクル!

[ 2008年9月4日 06:00 ]

<巨・広>8回、小笠原は中越え二塁打でサイクル安打達成

 【巨人10-9広島】ミラクルを呼ぶサイクルだ!巨人の小笠原道大内野手(34)が3日の広島戦で史上62人目、球団では5人目となるサイクル安打を達成した。初回に中前打、4回には中越え本塁打、6回にも中越え三塁打と安打を重ね、8回の右翼線二塁打で決めた。チームも終盤までもつれた一戦を制し、首位・阪神と約5カ月ぶりの5ゲーム差に接近。史上最大13ゲーム差からの逆転Vが見えてきた。

【巨人グッズ
過去のサイクル安打


 スタンドにサインボールを投げ入れ、小走りでグラウンドを1周した小笠原が息を切らしてベンチ裏に現れた。

 「記録はうれしいですけど接戦で打ててうれしい。(サイクルは)初ですけども…はぁ。最後走ったから疲れちゃったよ」

 初回に中前打。4回にはバックスクリーン左へ2ランを運び、同点の6回には2死三塁から07年9月22日の横浜戦(東京ドーム)以来となる中堅フェンス直撃の三塁打。そして8回の第5打席。2―1からの5球目、岸本の内角直球を右翼へライナーで運ぶと全力疾走で二塁へ。祝福の花束を受け取った。

 「本塁打はタクさん(木村拓)が打った後だったので楽に入れた。三塁打は無心で食らいつきました。二塁打?ベンチ裏で言われていたんですけど、打席では頭が真っ白でした」
 4安打3打点。すべて貴重な安打だったが6回は特別だった。1死三塁で三塁走者・寺内が李スンヨプの高いバウンドの二ゴロでスタートを切れず自重。勝ち越し機に犯した後輩のミスを救うことだけ考えて打席に入っていた。

 昨年1月。宮崎キャンプ前に1人の新人が駆け寄ってきた。「小笠原さん、一緒に食事に行かせてください」。目を真っすぐに見つめ寺内に言われた。酒の苦手な後輩と杯を交わして以来、かわいがるようになった。お立ち台は2人で上がった。

 打率を4月3日以来となる3割に乗せた。好調の要因については、考えた末に口を開いた。「自分でも分からない。勝つためにどれだけ仕事ができるかだから。勝つためにやる。その一心」

 8月、ジャイアンツ球場の全体練習に開始3時間前に現れた。「道がすいてたんだよ」と言いながら、ウエート室で下半身の強化メニューをこなした。遠征先では湿布を張ってから布団に入る。開幕から悩まされている左ひざの痛みは強化とケアで乗り越えてきた。首位・阪神とは5ゲーム差に接近。原監督は「現実的になったのはいいこと。それよりわれわれのチームの戦い方をするということ」と気を引き締めた。

 記念球は篠塚打撃コーチから手渡された。「優勝というか大きなことは言えない。今は目の前の試合をみんなで積み重ねていくだけ」。最後まで浮かれることなく、締めくくった。

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2008年9月4日のニュース