岩井ツインズ米女子ゴルフ席巻 双子アスリートに“2倍速メリット” 能力に相関関係は?

[ 2025年9月24日 04:50 ]

岩井千怜(左)と岩井明愛
Photo By スポニチ

 8月、女子ゴルフの岩井姉妹が快挙を達成した。米ツアーで5月に初優勝した妹・千怜(ちさと)に続き、姉・明愛(あきえ=ともに23、Honda)も初制覇、双子そろってのツアー優勝は史上初の快挙だった。スポーツ界でたびたび話題となる双子アスリートの活躍。その能力に相関関係はあるのか。慶大の安藤寿康名誉教授(67)と順大の福典之教授(52)に聞いた。(取材構成・波多野 詩菜)

 今季、岩井ツインズが米女子ゴルフ界を席巻し、双子アスリートが脚光を浴びている。過去にも80年代にはマラソンの宗茂と猛、90年代にはノルディックスキー複合の荻原健司と次晴、00年代にはサッカーの森崎和幸と浩司も活躍した。行動遺伝学を専門とし、日本における双子研究の第一人者、安藤氏は「能力の相関は高いです。スポーツに関しては物凄く高いと言っていい」と断言する。

 07年に英国で報告された約2000組の調査研究では、運動能力は66%が遺伝要因、34%が環境要因と分析された。特に一卵性の場合、両親から受け継ぐ遺伝要因が全て同じ。遺伝の影響は競技力に関わる知能、パーソナリティーも含め、あらゆる面に及ぶ。

 「遺伝的要因がベースにあり、かつ生活環境を共有していると環境の影響も入ってくる」。例えばトレーニング法や食事の取り方、睡眠時間。生まれつきの体に合う方法を双子がシェアすれば当然、最適解にたどり着きやすく結果的に競技力を高める要素となる。

 一方で二卵性の場合、スポーツ遺伝学を専門とする福氏は「生まれてきた時期は変わらないが、遺伝的にはきょうだいと一緒」と説明する。むしろ「時期が異なって生まれたきょうだいの方が、成長の過程で異なる社会影響を受けるため多様性が生じ、結果としてパフォーマンスが高い」というケースもあるという。

 また、双子、スポーツ遺伝学を研究する両者が口をそろえるのは「相関関係が高い=能力が高い」とはならないということ。安藤氏は「運動能力だけでなく、他の能力も、双子ゆえに単胎と比べて高いことは基本ない。だが、得意な種目やその成績において発揮するものは似ている」と言う。

 双子アスリートが輝く背景には大前提として双方の努力がある。その上で、体質に適した競技や練習方法などを2倍試せる。遺伝が同じゆえの最適解への“2倍速メリット”が優位性を生み出す一つの要因と言えそうだ。

 ≪遺伝の影響は知能も大きく≫運動能力と同様に、知能も両親からの遺伝の影響を大きく受けるという。安藤氏は「どちらも遺伝の影響がかなりある」と説明する。知能に関してはデータが豊富で、白人には学力に関係する遺伝子が約3900個あると判明するなど詳細な研究が進む。一方、データを取りにくい運動能力に関しては体系的な研究がなされておらず、「何が遺伝的か…について、はっきりしたことは言えない」のが現状という。

 ≪一卵性と二卵性 25%が「勘違い」≫安藤氏は「およそ25%の双子は(一卵性と二卵性を)勘違いしている」と話す。正確には遺伝子検査が必要となるが、一番簡単な見分け方は「小さい頃によく人から間違えられたか」。間違えられた双子の90%は一卵性だという。出産時に胎盤が2つあることを理由に産婦人科医から二卵性と告げられることがあるが、これも誤りで「胎盤だけでは分からない」と言う。

 ▽主な双子アスリート 陸上長距離では設楽啓太、悠太がともに東洋大時代の箱根駅伝で活躍し、悠太はマラソン、ハーフマラソンの元日本記録保持者。レスリングでは湯元健一、進一がそれぞれ08年北京五輪の銀、12年ロンドン五輪の銅メダリストになった。サッカーでは佐藤勇人、寿人がともに日本代表入り。ノルディックスキー複合女子では葛西優奈、春香が国際舞台で活躍中で、2月の世界選手権では個人ノーマルヒルで優奈が金、春香が2大会連続銅に輝いた。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2025年9月24日のニュース