車いすテニス・小田凱人 鮮やか逆転金メダルに「格好よすぎる、俺」 魅せるプレーにこだわり

[ 2024年9月9日 02:00 ]

パリ・パラリンピック第11日 ( 2024年9月7日 )

金メダルをかじる小田(AP)
Photo By AP

 車いすテニス男子シングルス決勝で18歳の小田凱人(東海理化)はアルフィー・ヒューエット(英国)に勝ち、初制覇した。同種目史上最年少での制覇となり、東京大会の国枝慎吾に続き日本勢が連覇。今大会の日本の金メダル数は14個となり、前回大会の13個を上回った。

 強烈なフォアハンドのショットを打ち込んで2時間38分の熱戦に終止符を打つと、車いすの車輪を外して赤土のコートに寝転び、号泣した。車いすテニス男子決勝で18歳の小田が世界ランキング1位のヒューエットを撃破。先にマッチポイントを握られる逆境からの大逆転劇で金メダルを獲得し「やばい、格好よすぎる、俺」。歓喜の言葉に若さがあふれ出た。

 第2セットを落として追いつかれた。第3セット、3―5で迎えた第9ゲーム。「俺には前に出るスタイルしかない」とスイッチが入った。3度のジュースを経てこのゲームをもぎ取ると、第10ゲームをブレーク。さらに2ゲームを連取して一気に決着をつけた。

 準々決勝まではテレビ中継もなし。SNSで放送を熱望し「これが車いすテニスの現状。僕はそれを変えに来ている」と魅せるプレーにこだわった。準決勝とダブルス決勝は急きょ放送が決定。決勝は満員の観衆で埋まり、自らの力で理想の舞台をつくった。

 9歳で左股関節に骨肉腫が見つかり、闘病中に見た国枝慎吾さんの映像に影響されて車いすテニスを始めた。その第一人者が昨年引退し、日本のパラスポーツ界をけん引する役割を託された。「(パリ大会は)一生に一度。負けたら一生分の傷が残る」と強い覚悟で今大会に臨んでいた。

 「全てこのためにやってきた」。凱旋門にちなんで名付けられた「凱人」。金メダルを獲ることが「運命」と確信してきたパリで、勝ちどきを上げた。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2024年9月9日のニュース