アメフト大産大付 創部から指揮を執る山嵜監督がラストタクト「楽しかったよ」

[ 2023年12月10日 15:56 ]

全国高校アメフト選手権 関西決勝   大産大付13ー21立命館宇治 ( 2023年12月10日    王子スタジアム )

<大産大付・立命館宇治>険しい表情で戦況を見つめる大産大付・山嵜監督 (撮影 堀田 和昭)
Photo By スポニチ

 高校アメフト界きっての名将が静かにタクトを置いた。クリスマスボウル進出を懸けた立命館宇治戦は13ー21。教え子が死力を尽くしたフィールドを静かに見つめた後、大産大付・山嵜隆夫監督(65)はゆっくり歩き始めた。

 「やっぱり大事な試合はキッキング。最後はキッキングやな。まあ、負ける時はこんなものでしょう」

 1点差に追い上げ、決まれば同点だったTFPのキックがブロックされた第4Q開始直後のシーンが脳裏に甦った。直後にTDを奪われ、8点差に広げられても、QB片桐太陽(3年)はエンドゾーンを目指した。執念のドライブでは、本職のWRとしてスーパーキャッチも。「絶対に山嵜監督とクリスマスボウルへ行って、日本一の監督にしたかったけど…。ここで負けて終わるのは監督らしくない」。高校日本一を争う舞台に届かず、無念の思いを言葉に乗せた。

 大産大付アメフト部の歴史は、指揮官の生き様といえた。1981年に日体大を卒業し、同年の創部とともに監督就任。1999年からクリスマスボウル4連覇するなど、一時代を築いた。立命大を初めての学生日本一(94年)に導いたQB東野稔、NFLヨーロッパでも活躍したWR木下典明ら、育てた名選手は数え切れない。

 「監督生活? 楽しかったよ。指導者になっている子も多いしね。ここ10年くらい低迷してたけど、3年前は関西ベスト4、昨年はクリスマス、今年は関西決勝と、また上向いてきた。選手にも恵まれたけど、やっぱり、流行にかぶれるんじゃなく、普通のフットボールに戻したのが大きい。じり貧じゃなく、いい形で終わって、次の人にバトンを渡せるのが良かった」

 現在、65歳。今後について、「何も考えていない。終わったな、という感じだけ」とノープランを強調した。厳しい指導で知られた名将も、3歳と1歳の孫の話題になると、「今、一番の癒やしやな」と目尻を下げた。
 

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2023年12月10日のニュース