【二所ノ関親方 視点】翠富士「割り出し」で10連勝 好調裏付ける非の打ちどころない技

[ 2023年3月22日 04:40 ]

大相撲春場所10日目 ( 2023年3月21日    エディオンアリーナ大阪 )

割り出しで翔猿に勝利した翠富士(左) (撮影・後藤 大輝) 
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 単独首位の平幕・翠富士が小結・翔猿を珍手「割り出し」で破って10戦全勝とした。

 「割り出し」は片方の腕で相手のはず、もしくは肘の下あたりを押し上げ、反対の腕でまわしをつかんで引きつけて押し込んでいく技です。両者の体が割れるように離れていくことから名付けられたようです。

 現役時代は2度決めたことがあります。右で前まわしを取りながら膝を相手の左足の横につける。そして右で固め、得意の左はずで押していくと、相手は逃げ場がなくなり、仰向けに倒れるか割られるかしかなくなりました。翠富士は合体技のような動きになりましたが、きれいに決まったと思います。攻めながら半身にさせて相手の上手を遠くさせている。前まわしも絶妙の位置を取って、まさにお手本のような取り口。上手も取れず差し身も殺され、翔猿にとっては心も体もダメージを受けるような敗戦でしょう。

 前に出る圧力が出たからこその技で、日頃の稽古のたまものと言えます。まさに好調さを裏付ける非の打ちどころのない技。早速、弟子たちにもレクチャーしました。 (元横綱・稀勢の里)

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