藤田さいき 史上2番目ブランク11年35日ぶりV「とっても長かった」

[ 2022年11月21日 04:50 ]

女子ゴルフツアー 大王製紙エリエール・レディース最終日 ( 2022年11月20日    愛媛県・エリエールGC松山=6575ヤード、パー71 )

<エリエールレディース最終日>激闘を繰り広げた鈴木愛も拍手の中、パーパットを決めうずくまる藤田さいき(撮影・井垣 忠夫)
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 1打差の2位から出た藤田さいき(36=チェリーゴルフ)が4バーディー、ボギーなしの67で回り、通算21アンダーで逆転優勝を飾った。11年10月の富士通レディース以来、実に11年35日ぶりとなるツアー通算6勝目。88年のツアー制施行後では10月のツアーで11年189日ぶりの優勝を飾った金田久美子(33=スタンレー電気)に次ぐ歴代2位のブランクVとなった。

 カップの横にしゃがみ込み、両手で顔を覆った。涙があふれ、右のコンタクトレンズが外れた。「普通ではいられないと思った。私らしくていいかな」。最終18番、ウイニングパットはどちらに切れるか微妙な下りの1・2メートル。「腹をくくって打ちました」。決まった。11年35日ぶりの優勝。あふれる思いを抑え切れなかった。

 地道な練習はうそをつかなかった。今季も2位が3回。あと一歩届かない。9月下旬、1試合休み、所属先のゴルフ場でミニ合宿を張った。過去のミスを再現しながら修正に励んだ。1・2メートルも繰り返し打ち込んできた距離だった。72ホール(パー71)での「263」はツアー最少ストロークを4打更新する新記録となった。

 11年前、夫・和晃さん(37)と結婚。運命のいたずらか。以降、優勝とは無縁になった。「結婚して駄目になった」など周囲からは心ない言葉も浴びせられた。和晃さんは、藤田のトレーナーでもある黒岩祐次氏の元へ通い、トレーナー業を学んだ。前職も辞め、サポートに徹してきた。「つらい時も一番近くで支えてくれた」と涙した。

 決戦前夜、藤田は携帯の電源を切った。一切の情報を遮断、最終日だけに集中して眠りについた。和晃さんはそんな姿から今季優勝を逃した過去3回との差を感じた。「前回は一睡もできず朝も吐いていました。今回は筋肉も程よい張り感で代謝も良かった」。あす22日は藤田の誕生日であり結婚記念日。最高の前祝いとなった。

 12年には50センチのパットにも不安を覚えるイップスを経験。14年には子宮頸(けい)がんを患い手術も受けた。何度も「ゴルフをやめたい」と思った。先月9日、食道がんで逝去した橋本道七三さんには当初、今大会のキャディーを依頼していた。「11年はとっても長かった。一言で表せないです」。万感の思いあふれる涙の復活Vだった。

 ◇藤田 さいき(ふじた・さいき)1985年(昭60)11月22日生まれ、静岡県沼津市出身の36歳。14歳でゴルフを始め、06年プロテスト合格。同年プロミス・レディースで初優勝。今回がツアー通算6勝目。11年11月22日に和晃さんと結婚。16年から登録名を「藤田幸希」から「藤田さいき」に変更した。1Wの平均飛距離249.91ヤードは8位。趣味は映画観賞。1メートル68、67キロ。

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