石井さやかの揺るがぬ決意「プロになる」 女子テニスの新星、父はDeNAの琢朗コーチ

[ 2022年11月3日 09:34 ]

親子の夢であるグランドスラムの大舞台を目指す女子テニス・石井さやか(写真提供HSS)
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 【君島圭介のスポーツと人間】ジュニアの大会できらびやかな戦歴を誇る女子テニス界の新星・石井さやか(17=HSS)。父親のDeNAベイスターズ・石井琢朗野手総合コーチと小学生の頃から追いかけてきた夢であるプロの舞台に来年から本格的に進出する。独占インタビューの後編。

 全日本ジュニアU―18(18歳以下)制覇など国内のジュニアタイトルを総なめ。今年から国際大会に活躍の場を広げ始めた。来年には本格的にプロテニスプレーヤーとしての活動を開始する。

 「ジュニアとしてやり残したことはない。今はプロ転向に向けてちょっとずつ(シニア大会に)移行しているところです」

 今年はテニス界の最高峰であるグランドスラムのジュニア大会にも出場したが、そこで世界の壁も痛感した。

 「(1メートル75の)背は高い方だと思っていたし、体も大きい方だと思ってきたけど、外(世界)出たらあっちの人の方が身長高いしガタイもいいし、負けてるし、みたいな感じ。やっぱり筋肉、そこを鍛えないといけないなというのはある。(成長期の)中3くらいまではウエートトレーニングも全然してなくて、高1から少しずつ始めた」

 現在は通信制の高校(S高等学校)で学びながら練習拠点とする米国・フロリダのIMGアカデミーで本格的なウエートトレーニングにも取り組んでいる。伸びしろしかない。父・琢朗さん(1メートル74)を超えた身長もまだ伸びている。

 「食べるのも好きだけど、一番は寝ること。11~12時間は平気で寝る。フロリダで(新型コロナウイルスの)ワクチン接種した後、2日間オフになったときは20時間寝続けてコーチに『クレージー』とあきれられた(笑い)」

 プロテニスプレーヤーは小学生の頃からの夢。家族は全力で応援してきた。21年3月には琢朗さんが代表、母・詩織さん(元フジテレビアナウンサー)が取締役のマネジメント会社「HSS」を立ち上げ、全面的にサポートしている。

 「野球だったらチームがあって指導者がいて練習場所や用具もあるが、テニスで強くなるためには個人でコーチを付けたり、コートを借りたり、お金がかかる。ボールも自分で買わないといけないし、ガットが切れたら1回何千円もかかる。練習の送り迎えもある。私は家族に上を目指せる環境をつくってもらえた。いつも側にいて、一番の味方でいてくれる。本当に家族には感謝しかない」

 父・琢朗さんは無理に背中を押すことなく、ただ寄り添ってきた。偉大な先輩アスリートで実績ある指導者だが、娘のプレーに口を出すことはない。さやかにはそんな父の尊敬する姿があるという。

 「休みの日でも部屋にこもって(DeNAの)試合のビデオを見たり、データ分析をしている。選手の名前を貼ったファイルはチーム全員分ある。コーチとしてすごい努力家で選手ファースト。そういうところはリスペクトしている」

 来年は本格的なプロ転向イヤー。持ち味は強気な攻めだ。

 「大事なポイントこそ強く打ち込む。負けている試合はそれができていない」

 現在ジュニア世界ランキング15位(10月31日現在)。目標はプロテニス選手になると決意した小学生のときから変わらない。

 「グランドスラムで優勝したい。それをゴールにしている。でも、そこが100とすれば、今はまだ10かな(笑い)」

 日本ジュニアの頂点を極め、この秋は17歳で異例の日本代表入り。プロツアーにも参戦する。親子で描く夢「世界編」が始まる。

 ◆石井さやか(いしい・さやか) 2005(平17)年、東京生まれの17歳。父はDeNAの石井琢朗野手総合コーチ(来季は同チーフ打撃コーチ)。5歳でテニスを始め、全国選抜U―14優勝、全日本ジュニアU―18優勝、世界スーパージュニア準優勝など輝かしい戦績を持つ。趣味は読書で「本屋なら何時間でもいられる」。1メートル75。右利き。

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