競歩・川野将虎 大逆転Vで世界切符 「完治まで半年以上かかる」貧血からの復活

[ 2022年4月18日 05:30 ]

優勝して表彰式で笑顔を見せる川野
Photo By スポニチ

 陸上の日本選手権35キロ競歩輪島大会が17日に開催され、男子は東京五輪50キロ6位入賞の川野将虎(23=旭化成)が2時間26分40秒で優勝した。今年7月の世界選手権の派遣設定記録(2時間30分00秒)も突破し、代表選手に内定した。

 従来の50キロに代わる新種目となる35キロは、今大会が国内初開催。独走する松永に20キロ地点では1分30秒近く引き離されながらも、終盤に追い上げて優勝した。派遣設定記録より3分以上も速く歩き、今季世界最高記録をマークした。

 「35キロの国内最初のタイトルを獲れてうれしい。今後は競歩界を引っ張っていく存在にならないといけないと思っている。最初のステップとして、優勝できて良かった」

 今年1月には極度の貧血となり、一度は世界選手権への出場を諦めかけた。川野が東洋大時代から今も指導を仰ぐ酒井瑞穂コーチは「医師からは完治まで半年以上かかると言われた」という。だが、制限をする中で可能な範囲のトレーニングを実施。心肺機能を落とさず、かつ貧血にはならないよう細心の注意を払いながら日々を過ごしてきた。

 この日、体重はベストよりも2キロほど絞り切れていない状況だったが、国内初開催の35キロを制した。「五輪で6位になれた。世界大会で入賞圏外の結果は出したくないという、良い意味でのプライドができた」と酒井瑞穂コーチ。五輪後に自炊をさせるようになったのも、成長を促すためだった。

 「35キロをする上で、いろんな意味で川野は自分自身でプロデュースすることが必要だと思っている。池田(向希)は今も寮食ですけど、川野は自己管理のために料理を始めました」

 当初は目玉焼きすら満足に作れなかったが、今では栄養バランスを考えて複数のおかずを食卓に並べ、毎食ごとに写真を撮って酒井瑞穂コーチに送っている。

 今後、さらにコンディションも上がることが見込まれる中、陸連の今村文男シニアディレクターは「世界陸上で輝かしい成果を残してほしい」と期待を寄せた。東京五輪6位から、さらなる飛躍を目指す。

続きを表示

この記事のフォト

2022年4月18日のニュース