黄金世代10人目!植竹希望が初V 史上最長2時間の死闘PO4人6H制した

[ 2022年4月18日 05:30 ]

女子ゴルフツアー KKT杯バンテリン・レディース最終日 ( 2022年4月17日    熊本県 熊本空港CC=6499ヤード、パー72 )

優勝した植竹は笑顔でVサイン(撮影・岡田 丈靖)
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 1打差2位から出た植竹希望(23=サーフビバレッジ)が通算8アンダーで並んだ4人によるプレーオフを6ホール目で制し、悲願のツアー初優勝を決めた。屈指のショットメーカーは勝負どころでのパットがさえ、ツアー史上最長となった2時間に及ぶプレーオフに決着をつけた。今をときめく、98年生まれの「黄金世代」で10人目の優勝者として名を刻んだ。

 長かった戦いに終止符を打つ2メートルのパットがカップに消えた。植竹が3番から着用した大きめのマスクを外す。笑顔がはじけた。「くしゃみが止まらないんですけど優勝直後の顔は(写真を)撮ってほしくて」。次の瞬間、最後まで見守ってくれた同学年の大里、小祝、浅井に囲まれた。目元に光ったものは花粉症のせいではない。

 まさに死闘。4人でのプレーオフは決着に6ホールを要した。最後はグリーン右のバンカーから2メートルに寄せた。なぜか「あのパターは入ると思った」と確信する。見知らぬ人の書き込みでスロープレーを指摘され、先週からルーティンをより短くし感覚を大事にするスタイルへと変えたパットが勝負を決めた。

 リーダーボードはこの日も無視した。4度目の最終組、黄金世代の呪縛――。優勝への強すぎる思いから失敗する経験を繰り返した。救われたのが前夜届いたツアー41勝の森口祐子さんからのメールだ。「人のゴルフは自分の力で変えられない。自分のゴルフをしなさい」。胸に響いた。西村、吉田優、小倉ら2学年下のミレニアム世代とのプレーオフでも支えになった。

 順風満帆だったわけではない。高2の春、両親が離婚。ゴルフを続けられる経済状況ではなくなった。母・和美さん(51)は「絶対にできる」とダブルワークで支えてくれた。植竹もアルバイトに励んだ。優勝の瞬間、一番に視線を送ったのは観客席で目元をハンカチで覆う母だった。

 0歳から水泳を始め今も週2、3回、一度に3キロは泳ぐ。正確かつ力強いショットは柔らかな肩関節から生まれている。ウッズの動画をこよなく愛し、渋野、畑岡らと同じ海外挑戦の夢も抱く。「4大メジャーは全部出たいです!」。黄金世代からまた一人、ヒロインが誕生した。

 ◇植竹 希望(うえたけ・のぞみ)1998年(平10)7月29日生まれ、東京都出身の23歳。4歳でゴルフをはじめ、日出高卒業後の17年7月にプロテストに合格。20年に下部ツアー1勝。昨季、賞金ランク33位で初シード権獲得。屈指のショットメーカーでタイガー・ウッズ、ネリー・コルダらの動画観賞が趣味。希望と書いて「のぞみ」と読むのは父が好きだったドラマのヒロインが由来。1メートル70、61キロ。

 ≪PO最長は7H≫1988年のツアー制度施行後、プレーオフの最長は7ホール。02年ヴァーナル・レディースでは久保樹乃が木村敏美、山崎礼奈との争い、06年スタンレー・レディースでは古閑美保が大山志保との争いをそれぞれ制した。6ホール突入は1時間47分の激闘の末、飯島茜が制した15年のTポイント・レディース以来。今大会のPOは午後2時2分から同4時2分まで2時間に及び、02年ヴァーナル・レディースの1時間55分を更新する史上最長となった。

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