冬季日本男子では最年少 21歳・川除大輝 金メダル!新エースが実力証明 

[ 2022年3月8日 05:30 ]

北京冬季パラリンピック第4日 ノルディックスキー距離 ( 2022年3月7日    国家バイアスロンセンター )

男子20キロクラシカル立位で金メダルを獲得し、日の丸を背に笑顔の川除大輝
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 ノルディックスキー距離は男子20キロクラシカル立位が行われ、日本選手団旗手で、21歳の川除(かわよけ)大輝(日立ソリューションズJSC)が初の表彰台となる金メダルを獲得した。冬季大会の日本男子では最年少金メダリスト。2度目の大舞台で、次世代のエースと言われてきた男が、その力を証明した。アルペンスキーのスーパー複合女子座位で3冠に挑んだ村岡桃佳(25=トヨタ自動車)は2位で、今大会3個目のメダルとなる「銀」を獲得した。

 日の丸を背中に巻き、会場を笑顔で歩く。ゴールした川除の目の前に、見たかった景色が広がった。「率直にうれしい気持ちが一番。4年前と比べて成長したことを見せることができた」。メダリストだけに贈られる公式マスコット、シュエロンロンを大事そうに抱えると笑みがこぼれた。

 圧勝だった。生まれつき指に欠損があるため、ストックは持たずに滑走する。躍動感ある滑りで、2位の中国選手とは10キロ通過時点で1分28秒6リードし、最終的には1分34秒9の大差をつけた。

 4年前、目に焼き付いた光景が、ここまで強くしてくれた。初出場の平昌大会。当時の日本のエースだった新田佳浩が、10キロクラシカルで金メダルを獲得した。川除は同種目10位。先輩が表彰台に上がる姿に「僕も立ちたい」との思いを胸に刻んだ。「ここで自分の気持ちが入れ替わった」。動画などで海外選手の滑りを見て、フォームを研究。改良を重ね、19年世界選手権で優勝。急成長した。

 幼い頃から分け隔てなく育てられ、サッカーやスキーを健常者と一緒に取り組んできた。新田との出会いは小学4年の頃。10年バンクーバー大会で獲得した金メダルを首にかけてもらった。「とても重く、ずっしりしていた」。パラスポーツに触れた原点だ。新田とは17歳でパラリンピックに初出場したのも、日本選手団の旗手を務めたのも同じ。「新田さんの道をたどってきた」。偉大な背中をずっと、追い続けてきた。

 レース後、新田から「おめでとう」と祝福された。川除は「(新田には)安心してもらえると思う。次は自分がチームを引っ張っていける力がついたと証明できた」と胸を張った。

 ≪41歳・新田 集大成7位≫18年平昌金メダリストの41歳の新田はゴールすると、涙を浮かべながら「スッキリしました!」と充実ぶりを口にした。集大成と位置付けて挑んで7位。98年長野大会から7大会連続となった大舞台を「結果はメダルに届かなかったけど、思い入れのある大会になる」とかみしめた。川除の優勝には喜びつつ「これから(パラスキー界を)引っ張っていってくれる存在」と新エースに思いを託した。

 ◇川除 大輝(かわよけ・たいき)2001年(平13)2月21日生まれ、富山県出身の21歳。富山・雄山高―日大3年在学中。生まれつき両手足の指の一部がない。6歳の時にスキーを始めた。18年平昌パラのスキー距離男子立位20キロフリー9位。19年世界選手権の同種目で優勝した。日立ソリューションズJSC所属。

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