フィギュア女子 日本はROCとの差埋めるため4年後4回転必須 本紙記者が北京五輪総括

[ 2022年2月22日 05:30 ]

フィギュア・坂本花織
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 北京五輪で日本は、過去最多の18個のメダルを手にした。フィギュアスケート女子では、坂本花織(21=シスメックス)が銅メダルを獲得。日本女子では12年ぶりの表彰台となったものの、4回転ジャンプなどを跳ぶROC(ロシア・オリンピック委員会)勢との差は歴然としていた。スピードスケート・ショートトラックは、98年長野五輪以来のメダルを目指しながら、1種目も決勝に進めなかった。2つの競技を担当した西海康平が、大会を振り返りつつ、4年後を考えた。

 《フィギュア女子》 目の前で4回転のジャンプをバンバン跳んでいる。フィギュアスケート女子の取材は、ドーピング問題が発生したことで一気にワリエワ中心となった。その影響でシェルバコワ、トルソワを含むROC勢の練習を見る機会が急増。冬季五輪を初めて取材する自分でも、間近で軽々と大技を決める姿からは凄さが伝わってきた。

 日本の坂本は安定感や表現力を磨き上げ、銅メダルを手にした。10年バンクーバー五輪銀の浅田真央以来となる表彰台に上がった一方で、優勝したシェルバコワとは22・82点差でもあった。演技後、指導する中野園子コーチに「今後への期待」を聞いた。坂本らしさを突き詰めてほしい…といった答えを想像していたが、違った。

 「これで、もっと難しいジャンプも頑張って練習すると思う。それが入れば、4年後はもうちょっと上が狙えるんじゃないか」。差を埋めるためには、4回転ジャンプなどが必須。それは本人も自覚しており、翌日の会見で「(ジャンプの点数などが含まれる)技術点で稼がないとロシアに対抗できない。帰ってから大技も含めて練習したい」と言った。

 実際に日本スケート連盟でも高難度ジャンプの重要性は認識しており、北京五輪男女シングル3枠目の選考基準の一つに、今季の技術点上位2人などといった条項が新たに盛り込まれた。現在、日本のシニアでは紀平梨花が4回転サルコーを、ジュニアでは島田麻央が4回転トーループを成功させている。

 河辺愛菜や島田らを指導する浜田美栄コーチは今年1月、こんなことを語っていた。「(フィギュアスケートは)ジャンプだけじゃないけど、スポーツである以上、跳ばないと勝てない。4年後は4回転がなかったら勝てない状況になっている」。ルールや年齢制限の変更によって世界の流れは変わるかもしれないが、その言葉を北京で思い出した。

 《ショートトラック》 ショートトラックは、世界との差を痛感させられた。18年平昌五輪後、長島圭一郎ヘッドコーチのもとで重点的に強化してきたのがリレー種目。だが、混合2000メートルリレー、男子5000メートルリレーともに決勝に進めなかった。個人戦の女子1500メートルで、菊池純礼が8位入賞したのが、日本勢の最高成績だった。

 長期合宿、そして選手選考にもリレーのメンバー構成が重視されながらも「まだまだレベルの差が圧倒的にある」と長島ヘッドコーチ。リレーに重きを置いてきた中で「まずは個人を徹底的に鍛えるべきじゃないか。それがリレーにもつながる」という声もショートトラック界で聞いた。卵が先か鶏が先か。日本勢にとって98年長野五輪以来となるメダル獲得へ、課題は多い。

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2022年2月22日のニュース