羽生結弦、北京切符へ王手!「クリスマス忘れるくらい集中」新曲“ロンカプ”満点解釈で首位発進

[ 2021年12月25日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第2日・男子SP ( 2021年12月24日    埼玉・さいたまスーパーアリーナ )

男子SPで華麗に演技する羽生(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(27=ANA)は111・31点で首位発進した。252日ぶりの実戦となる今季初戦で、新曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」を披露。国際連盟非公認記録ながら“今季世界最高得点”で、3連覇が懸かる22年北京五輪出場へ王手をかけた。前人未到のクワッドアクセル(4回転半)を初めて投入する26日のフリーへ加速した。

 右拳を天高く突き上げると、羽生は不敵な笑みを浮かべた。そして、その拳を左胸に寄せた。北京五輪へとつながる今季初陣で圧巻の演技。2位と9・43点差をつける最高のスタートだった。「初戦としては落ち着いてできた」。事もなげに語った冬の主役は「クリスマスを忘れるくらい集中できました。皆さんも、どうか祈りだったり応援の力を僕にサンタさんとしてくださればうれしいです」とジョークも飛ばした。

 初戦とは思えない完成度だった。水色基調の衣装で登場。名曲の調べに乗せ、直立姿勢から一気にスイッチが入る。冒頭の4回転サルコーで波に乗り、後半の3回転半は長い滞空時間で成功。静と動のリズムが次々と切り替わる難しい曲調に合わせ、軽快に、そして激しく演じ切った。

 「感情を込めて滑ることができた」。手応えは表現力が採点される演技構成点に表れた。15年GPファイナルSPで「演技の表現力」で10点満点を出したことがあるが、「曲の解釈」で自身初の10点満点。非公認ながら自身の持つSP世界記録111・82点に肉薄し、チェン(米国)が出した今季世界最高106・72点も上回った。

 新SPは「序奏とロンド・カプリチオーソ」。エキシビ曲「春よ、来い」などを弾いた清塚信也にピアノ編曲を依頼し、振付師2人やオーサー・コーチらにも相談。自身も含め6人以上が携わった「コラボレーション」が出来上がった。

 描くのは、自身の苦悩や道のりなどを重ねながら暗闇から「何かをつかみ取る物語」。今季はNHK杯前に右足首を負傷。再び苦悩を乗り越えたからこそ出来上がった新作だ。「バラード第1番」や「SEIMEI」など自身が舞った名曲を引き合いに「まだ洗練されてないかもしれないけど、具体的な物語、曲に乗せる気持ちが強くある」と自信を見せた。

 優勝者が文句なしで決まる北京切符へ王手をかけた。だが、今大会の最大の野望は4回転半成功。「この試合できれいに決めきれるように練習したい。その先に北京五輪があるなら、この試合でしっかり勝ち取れるように、ふさわしい演技ができるように頑張りたい」。夢の大技を携えた究極のフリーが、いよいよベールを脱ぐ。

 ▽男子の北京五輪代表選考 日本は3枠。全日本選手権の優勝者を最優先とし、残る2人は総合的に選ぶ。全日本の2、3位、GPファイナル出場権獲得者(鍵山、宇野)、国際連盟(ISU)今季ベストスコア上位3人(宇野、鍵山、佐藤)を満たす選手から2人目を決める。さらに、上記基準を満たして選考から漏れた選手と世界ランク上位3人(鍵山、羽生、宇野)、今季の世界ランク上位3人(鍵山、佐藤、宇野)らから残る1人を選ぶ。

 【羽生の2021年】
 ▼4月 15、16日の世界国別対抗戦に出場。エキシビションに向けた17日の練習では4回転半ジャンプにも挑戦。
 ▼7月9日 アイスショー「ドリーム・オン・アイス」に出演。「マスカレイド」を舞う。公演は11日まで行われた。
 ▼22日 日本スケート連盟の公式ツイッターで東京五輪・パラリンピックに出場する日本代表にエール。
 ▼11月4日 「右足関節じん帯損傷」のためNHK杯を欠場することを日本連盟が発表。
 ▼17日 日本連盟がロシア杯欠場を発表。負傷の回復が遅れたため。
 ▼12月7日 27歳の誕生日を迎える。
 ▼20日 全日本選手権出場の意向を固めたことが明らかに。
 ▼22日 公式練習には参加しなかったが、開会式に姿を見せる。

続きを表示

この記事のフォト

2021年12月25日のニュース