内村航平 失意の五輪乗り越え帰ってきた 全身の痛みに耐え演技やり切り手応え

[ 2021年9月24日 05:30 ]

体操全日本シニア選手権 ( 2021年9月24日    山形・酒田市国体記念体育館 )

<体操全日本シニア選手権>鉄棒の演技をする内村(撮影・小海途 良幹)
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 男子の内村航平(32=ジョイカル)がリスタートの一歩を刻んだ。種目別鉄棒で予選落ちに終わった東京五輪以来の実戦は、14・133点で7位。着地が大きく乱れてスコアは伸びなかったが、明るい表情で世界選手権(10月18日開幕、北九州市立総合体育館)への手応えを口にした。個人総合は萱和磨(24=セントラルスポーツ)が86・265点で3連覇を果たした。

 内村の表情が、確かな手応えの証だった。着地後に後ろに倒れ込んだが、原因が明白だから意に介さない。バーを離す際にプロテクターが滑り「空中分解しかけていた」という。両足でマットに降りたことを「奇跡なんじゃないかな」と明るく振り返った。

 五輪後に股関節から全身に痛みが派生。「ハンバーガー食えねえ、みたいな」と顎にも違和感がある中、H難度「ブレトシュナイダー」をキャッチ。五輪で落下した因縁のひねり技もクリーンに決め「最低限、押さえるポイントは押さえられた」と強調した。

 失意とともに過ごした、五輪からの約2カ月。暗闇の中で、体操への思いだけは揺るがなかった。「気持ちを切らさないように、細い糸、一本だけでもつなげておきたい」。コンディションが万全でなくても、今大会の演技を通したことで光が差した。

 来月18日には生まれ故郷の福岡県北九州市で世界選手権が開幕する。「今日やって(糸が)ちょっと太くなっている気がする。世界選手権に向けて、少しずつ太くしていきたい。シンプルにいい演技をするだけ」。大舞台へのカウントダウンとともに、内村が本来の姿を取り戻していく。

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