水谷隼 五輪以来の実戦で引退実感「今から選手として戻るのは絶対無理だな」

[ 2021年9月24日 11:57 ]

自身の経験を記した書籍を出版し、会見に臨む水谷隼
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 東京五輪の卓球混合ダブルスで金メダル、男子団体で銅メダルを獲得した水谷隼(32=木下グループ)が24日、都内で行われた著書「打ち返す力 最強のメンタルを手に入れろ」(講談社)の出版記念会見に出席し、前日23日に出場した五輪後初の実戦について振り返った。

 23日のTリーグ琉球戦で、五輪以来初の実戦に出場したが、田添健太(26)と組んだダブルスでストレート負けした。既に競技の第一線から退くことを表明しているが、出場はチームメートのトラブルを受けて急きょ決まったもの。「実戦に出たのは当日の朝に選手が1人けがしたと言っていて、急きょ出ることになって」と明かした。

 五輪以来、本格的な練習はしていなかったという。「1度も練習してないですし、引退したというのは変わらないので、これから出る予定もないですし。久々に…オリンピックの韓国戦の用具そのままですし、それ以来のちょっとした練習ということで、卓球ってめちゃくちゃ難しいなって」と実感。五輪の金メダリストとはいえ、1カ月半のブランクは大きかったようで、「1カ月半やっていないからできないのは当然だけど、本当に試合を久しぶりにして難しかったですし、今から選手として戻るのは絶対無理だなって思いました」と苦笑いしていた。

 現在はテレビなど多くのメディア出演で、五輪など競技生活の経験を語っている。「最近はたくさんメディアの方に出させていただいて、それが今の自分の中の仕事みたいな感じになって、自分の新しい人生がスタートしているような感じ」と実感。一方で、今後については「今はオリンピックの金メダリストとしての需要でたくさん出せていただいているんですけど、これからは1人の人間として、水谷隼としてメディアでの扱いも変わってくると思うので、そこは自分の中で勉強しながら、これからどういう立ち位置で露出していけばいいのかというのは考えています」と語った。

 著書では、不正ラバー問題やけが、目の不調、誹謗中傷といた数々の試練を乗り越えて金メダルを手に水谷が、その礎となったプロとしての稼ぎ方、人間関係のコツ、プライベートの過ごし方、折れないメンタルの養い方などを自己流で解説した。水谷は「競技を通じて得た私の経験と卓球哲学は、普遍的な汎用性があると思う。仕事や学業、目の前の課題を『打ち返す力』を身につける。そのためのヒントを提示したつもり」と解説している。

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