全仏開幕!大坂の覚悟「一戦一戦前進」 初戦突破も宣言通り会見拒否

[ 2021年5月31日 05:30 ]

テニス全仏オープン 第1日 ( 2021年5月30日    パリ・ローランギャロス )

悲願の全仏制覇へ初戦を突破した大阪(AP)
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 新型コロナウイルスの影響で1週間遅れで開幕し、女子シングルス1回戦で第2シードの大坂なおみ(23=日清食品)が世界63位のパトリチアマリア・ツィグ(26=ルーマニア)を6―4、7―6で下した。20年全米、21年全豪に続く4大大会3連勝へ好発進。だが、今大会は記者会見に応じない意向を示して波紋を広げた通り、試合後の会見を拒否し、1万5000ドル(約165万円)の罰金を科せられた。2回戦は世界102位のアナ・ボグダン(28=ルーマニア)と対戦する。

 センターコートの開幕戦。2年ぶりに出場した全仏オープンで白星を手にした大坂はコート上でマイクの前に立った。開幕直前に大会中の記者会見に応じない方針を打ち出す中、嫌なそぶりを見せずに対応。苦手のクレーコートについて「もっと試合をしたらもっと良くなる。クレーではあまり試合ができていないけど、3セット戦うスタミナはあるし、一戦一戦前進したい」と語った。その後、中継局のインタビューにも応じたが、多数の記者が正式に要請していた試合後の記者会見は予告通り拒否した。

 危なげなかった。第2セットはタイブレークにもつれるなど試合時間は1時間47分を要したが、ブレークポイントを握られたのは2度だけ。逆に10度のブレークポイントを握った。ブレークは2度と重要なポイントを落とす場面は目立ったが、相手の19本を大きく上回る39本のウイナーを記録。スコア以上に内容で上回っていた。

 20年全米では人種差別に抗議。世論も味方につけて優勝したが、今回は風向きが違う。会見拒否は「選手の心の健康を守る」ための問題提起だが、4大大会18回の優勝を誇るジョコビッチが「会見はスポーツの一部」との見解を示すなど、否定的な受け取られ方が目立つ。米メディアによると、大坂の年収は女子スポーツ選手最高額の5520万ドル(約60億7000万円)。会見拒否による最大2万ドル(約220万円)の罰金による経済的ダメージが少ない状況もあり、インターネット上では「傲慢(ごうまん)」「わがまま」の声も上がる。

 コート外の言動が波紋を呼ぶ中、初戦を突破。2月の全豪オープンを制した今季は全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会に加え、五輪を制する「年間ゴールデンスラム」が最大の目標となる。全仏では3度の3回戦進出(16、18、19年)が最高成績。苦手の赤土克服に向けてプレーに集中しているが、会見拒否により失格の可能性が浮上するなど不穏な空気も漂い始めている。

 ○…ツィグは第2サーブを狙われて大坂のパワーに屈した。「彼女は素晴らしい選手。クレーに慣れ親しめば(4大大会4勝の)ハードコートのようにプレーできると思う」と称えた。大坂が記者会見に応じない一方で、コート上でのインタビューを受けたことについては「コメントしたくないが、彼女が自分にとってベストの選択をしていると思う」と言葉を選んでいた。

 ▽大坂の会見拒否発言 27日に自身のツイッターで全仏オープンで記者会見に応じない意向を表明。「これまで記者会見に参加したり見たりし、アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた。自分を疑うような人の前には出たくない。何度も同じ質問をされ、疑念を抱く質問を受けることも多い。“会見するか、さもなくば罰金”と言う統括組織は選手の心の健康状態を無視している」などと訴えた。ツアー大会では記者会見に応じる義務があり、拒否すれば最大2万ドル(約219万円)の罰金。大坂は「罰金がメンタルヘルスの慈善団体に寄付されることを願う」と皮肉った。

 【大坂と会見】▼17年9月 全米オープン3回戦でカネピ(エストニア)に敗戦。「気持ちの部分で安定しなかった。イライラし過ぎた」などと振り返るうちに泣きだし、マネジャーが会見を打ち切った。

 ▼19年6月 ネイチャーバレー・クラシック2回戦でプチンツェワ(カザフスタン)にストレート負け。試合後の記者会見を拒否し、罰金5000ドル(約55万円)が科された。

 ▼19年7月 ウィンブルドン選手権1回戦でプチンツェワにストレート負け。2大会連続で同じ相手に完敗し、会見途中で「泣きそう」と退出。そのまま会見場に戻らず打ち切りとなった。

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2021年5月31日のニュース