黄金、ミレニアム、新世紀…“谷間”21歳・稲見、涙の2勝目!プロ初PO制した

[ 2020年10月12日 05:30 ]

女子ゴルフツアー スタンレー・レディース最終日 ( 2020年10月11日    静岡・東名CC=6572ヤード、パー72 )

プレーオフを制し通算2勝目を挙げた稲見
Photo By 代表撮影

 首位と1打差の8位から出た稲見萌寧(21=都築電気)が、通算5アンダーで並んだ浅井咲希(22=小杉CC)とペ・ソンウ(26=韓国)とのプレーオフを1ホール目で制し、今季初優勝を手にした。昨年7月のセンチュリー21レディース以来となるプロ2勝目。コロナ禍の影響による2週間の隔離期間を覚悟の上で、8月の海外メジャー「AIG全英女子オープン」に挑戦。その経験を糧に台風14号の影響で36ホール短縮競技となった大会を制した。

 プロ人生初のプレーオフ。稲見は沈めれば優勝という4メートルのバーディーパットを前に「入れる気満々だった」という。1日10時間の練習の虫。その努力が生んだ自信だ。ウイニングパットを沈めると何度も力強くガッツポーズ。そして、ともに練習する高橋彩華に祝福され今度は何度もあふれる涙を拭った。

 「楽しかった。何が何でもやってやるという気持ちでした。2勝目が大事と思っていたので本当にうれしい」

 36ホール決戦となった今大会。1打差を追って出ると最終18番でバーディーを奪い、ボギーなしの5バーディーで首位に並んだ。その18番で行われたプレーオフ。「マン振りしました」。勝利への執念を込めたティーショットは正規のラウンドより30ヤードも飛んだ。それが、ウイニングパットへとつながった。

 この日のパーオン率は100%。昨季もパーオン率ツアー1位と屈指のショットメーカーだ。だが、一度心がへし折られた。初の海外メジャー挑戦だった8月の全英。「ボコボコにされに行ったら期待通りだった」と予選落ち。ショットだけでない武器を、と新たなパット練習を導入。2メートルを8回連続で入れるドリルで、3時間かかることもあった。特訓は勝負どころで生きた。「暴風雨」と振り返った全英に対し、この大会は「ゴルフ日和」と表現。本場リンクスの風を経験し、台風接近も動じなかった。

 稲見ら99年度生まれの選手は「谷間の世代」を自称する。昨年7月に世代初のツアーV。だが、2勝目が遠かった。畑岡、渋野、小祝、原ら98年度生まれの「黄金世代」、古江ら00年度の「ミレニアム世代」、今季2勝の笹生がいる01年度の「新世紀世代」が次々と優勝。全英後2週間の隔離で出場できない時期も重なった。「同年代の選手が活躍する中、私はかみ合わず中途半端。悔しかった」と焦燥感も力に変えた。

 1年3カ月をかけ、富士の麓でつかんだ2勝目。「今年は1勝で止まらないよう、優勝を目指して頑張る」。世代のダイヤモンドを目指すと宣言した21歳は、さらなる高みを見据えた。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイ・マーベリック サブゼロ(ロフト角10・5度、シャフトの硬さS、長さ45・25インチ)▼3、5W=ブリヂストン・ツアーB JGR(15、18度)▼4、5U=同ツアーB JGR(22、26度)▼5I=同ツアーB X―CBP▼6I~PW=同ツアーB X―CB▼ウエッジ=タイトリスト・ボーケイ デザイン SM7(52、58度)▼パター=テーラーメイド・トラス TB1▼ボール=ブリヂストン・ツアーB XS

 ◆稲見萌寧(いなみ・もね)
 ☆生まれ 1999年(平11)7月29日生まれ、東京都豊島区出身の21歳。通信制の日本ウェルネス高を卒業し、現在は日本ウェルネススポーツ大学在学中。
 ☆サイズと血液型 1メートル66、58キロ。A型。
 ☆ゴルフ歴 9歳で始める。14年関東中学選手権春季大会、15年東日本女子パブリックアマで優勝。19年7月のセンチュリー21レディースでプロ初優勝。昨季は賞金ランク13位で初のシード権を獲得した。
 ☆赤と黒のウエア 最終日に着ていた赤のシャツと黒のパンツは父・了(さとる)さんが「タイガーっぽくいこうか」とチョイス。憧れの存在であるタイガー・ウッズの勝負カラーに身を包み、逆転Vを飾った。
 ☆練習拠点 池田勇太や市原弘大らがジュニア時代に腕を磨いた千葉市の北谷津ゴルフガーデン。
 ☆コーチ 奥島誠昭プロ。

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