メダルラッシュ期待のスケボー 10代多く急成長期 男子パークの歩夢は「差を詰める修行の年」

[ 2020年5月25日 05:30 ]

五輪延期の光と影

世界との差を詰める年となる平野
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 東京五輪でのメダルラッシュが期待される新競技のスケートボード。国際統括団体のワールドスケートは延期に伴う正式な選考方針を示していないが、五輪予選中断前の世界ランキングでは多くの日本人選手が上位に名を連ねている。日本スケートボード協会(AJSA)競技委員の本間章郎氏(52)は、1年間の延期が成長段階の若手選手を多く擁する日本にとってプラスの材料となる考えを示した。 

 【女子ストリート・碧莉18歳、夢海13歳】五輪に初採用されたスケートボードはスポーツとしてまだ新しく、延期は各ファクターの成熟を図ることができる。その中で競技面に焦点を当てると、絶対王者を追う選手にとっては持ち味を磨く期間としてメリットになる。男子ストリートで世界ランク1位のナイジャ・ヒューストン(米国)と、同2位で世界最高峰のプロツアー「ストリートリーグ(SLS)」で4勝した日本のエース・堀米との実力の差は実際に詰まっていた。トップも追われながら成長しているが、追い上げる方が成果が出やすい。

 追う選手として日本は若い選手が多いことも特筆すべき点。例えば女子ストリートで世界3位の西村は18歳の若さだが、追随する選手は同11位の織田が13歳、同15位の中山が14歳、同17位の赤間は11歳、同18位の西矢が12歳とさらに若い。ちょうど成長期の10代前半から中盤の選手にとって、1年間という期間は非常に大きい。体重が増えるとスピードに乗りやすく、スピードに乗れば技に高さが出る。体が大きくなるとダイナミックに見える。そういった物理的な有利さが大きく結果に表れるはず。加えて世界的に見ると女子ストリートは年齢層が高いため、成長段階の日本勢が一気に上位に食い込む可能性は高い。

 【男子パーク 現状は世界に劣る】世界との差が歴然としている男子パークにとっては修業の年にできる。スノーボードハーフパイプの冬季五輪銀メダリストで夏冬両五輪出場を目指す平野は現在、世界ランク23位。一方で絶対王者と呼ばれた25歳のペドロ・バロス(ブラジル)が今は世界4位で、21歳のへイマナ・レイノルズ(米国)ら若手世代が台頭しつつある。平野や33位の笹岡がその波にうまく乗れると、差を詰めることも可能になってくる。

 そしてケガ明けの選手にとって延期は確実にプラス。男子ストリートで国内外の多くのタイトルを獲得した池田は昨年、左膝の手術で世界51位に沈んだが、一気に上位に浮上する才能はある。同4位の白井も左膝を負傷したが、延期で手術に踏み切った。どの種目も国内3枠の代表争いは激しくなるだろう。

 【女子パーク 大技「540」指標】対照的に、女子パーク世界王者で追われる立場の岡本にとっては難しい1年になる。彼女が五輪予選で4戦全勝できているのは、1回転半のエアの大技「540」を大会で確実に成功できる選手が他にいないから。目指す技が指標としてあれば効率的に練習できるので、追う側が有利。安定性や高さを磨かないと540が強い武器にならない可能性もある。新しい技、スピード、スタイル、全ての面で強化が必要になる。

 他国の伸びしろも指摘したい。現状は米国、ブラジル、日本の3強だが、日本が3番手に食い込めたのは堀米のような絶対的な実力を持った選手に若手が引っ張られて伸びたから。今は他国でもポルトガル、ペルーなどで実力のある選手が目立ってきた。そういった選手が堀米のような役割を果たして、国全体で急激に成長する可能性は大いにある。

 個人的な希望も含め、全種目で12個あるメダルのうち半分は日本が獲れると思っている。今は大会が延期や中止になっているが、選手たちはSNSや動画で研究したりと戦いは始まっている。メダルの色をどう変えるかは、これからの努力次第。来夏の活躍でスケートボードが文化としても波及していくことを期待したい。

 《予選未定、強化選手再選考も》延期になった五輪予選大会の新日程は世界選手権も含めて発表されていないが、ワールドスケートジャパンは国際大会に派遣する強化指定選手の再選考も検討している。19年度の強化指定選手は昨年5月の日本選手権で選ばれており、関係者は「まずは(ワールドスケートの)レギュレーションや予選のロードマップを確認してから」とした上で、「今年は今年で日本選手権をやらないといけないという話はある。それを東京五輪にひも付けるか、パリ五輪にシフトするかも含めて検討中」と話した。

 ▽東京五輪のスケートボード ストリートとパークの2種目。ストリートは街中にある斜面や階段、手すりを模したコース、パークは深さや角度が異なるくぼ地を組み合わせたコースを使う。トリックの難易度や独創性などを評価した採点で競う。

 ◆本間 章郎(ほんま・あきお)1967年(昭42)6月24日生まれ、東京都世田谷区出身の52歳。17歳からスケートボードを始める。95年にスケートボードショップ「インスタント」を設立し、現在は4店舗を展開。96年からAJSA競技委員として大会MCや審査員を務め、国内外のスケートボードパークの建設にコンサルタントとして携わっている。

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