【羽生結弦の1年 四大陸選手権】「もう少しだけ“この子たち”の力を借りてもいいかな」

[ 2020年4月6日 05:30 ]

羽生結弦の1年「言葉」と振り返る

四大陸選手権 フリー「SEIMEI」(撮影・小海途良幹)
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 フィギュアスケート男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(25=ANA)の2019―20年シーズンが終わった。集大成の世界選手権は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期という形で突然、幕を閉じたが、今季も名場面が満載だった。序盤の連戦を経て、たどり着いたプログラムとの決別。そして、四大陸選手権で男子初のスーパースラム達成…。駆け抜けたシーズンを印象的なコメントとともに、振り返る。

◆四大陸選手権(20年2月4日~9日 韓国・ソウル)
「(バラード第1番は)ワインとかチーズみたいなもの。熟成されて、深みが出る」
「もう少しだけ“この子たち”の力を借りてもいいかな」

 数々の伝説を打ち立ててきた王者が、また一つ箔(はく)を付けた。ジュニア、シニアの主要国際大会を完全制覇する“スーパースラム”を男子で初めて達成。演目を平昌五輪でも使用したSP「バラード第1番」、フリー「SEIMEI」に変更し、緑色を加えた新衣装で舞った。

 SPは冒頭の4回転サルコーを完璧に決めるなど圧巻の内容。18年11月GPロシア杯でマークした自身の世界最高110.53点を1.29点も更新した。大技ルッツを組み込んだフリーではジャンプにミスが相次いだものの、名曲の調べに身を委ねることで呪縛から解き放たれた。

 異例のシーズン中の演目変更。羽生は感謝する。決別した「秋によせて」と「Origin」に。先人へオマージュをささぐ難関曲に挑んだ時間が、演技に深みと強弱を加えてくれた。王者が目指すは、音楽とスケートの融合。そこに、前人未到の4回転半ジャンプを組み込む究極の演技だ。新型コロナウイルス感染拡大で3月の世界選手権は中止。今季は突然、終幕したが、羽生の冒険は終わらない。

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