「空手道界のプリンス」西村拳 恩師は“東京金”確信「50年に1人の選手」

[ 2020年2月12日 05:30 ]

豪快な蹴りで東京五輪金メダルを目指す西村拳(右)
Photo By 共同

 今年の東京五輪で初めて正式種目になった空手。組手男子75キロ級には、端正な顔立ちと長身から「空手道界のプリンス」と称される西村拳(24=チャンプ)が出場する。出身は福岡市だが、高校時代を宮崎第一で過ごした。同校空手道部の図師幸一監督(70)が高校時代の教え子を振り返る。

 どうしても宮崎まで来てほしかった。指導歴40年を超える図師監督にとって西村は「学校の規則を変えてしまった」選手だった。初対面は西村が中学生のとき。宮崎第一の夏合宿に福岡からやって来た。

 「非凡なものがあった。西村先生の息子だし、これは凄い男になる」。西村の父・誠司さん(63)は空手の元世界王者。“空手界のサラブレッド”は約10校から入学の誘いを受けていた。

 熱心に勧誘していた図師監督は、さらに環境面を整えようと動いた。その一つが携帯電話の使用だ。当時、宮崎第一の寮では使用禁止されていたが、校長室へと駆け込んで「もうそんな時代違いまっせ」と直談判した。福岡市の家にも出向き「拳を日本一の男にします」と家族に宣言した。

 期待された西村だったが、1年時はケガが相次ぎ、過呼吸にもなるなど、試合に出られない日々を過ごした。その分、練習に打ち込んだ。時には足の裏が血だらけになるまで自主練習に取り組んだ。図師監督は同じメニューを何度も反復し、体に叩き込ませるやり方で鍛えた。練習は1日5~6時間。休みは月に2度ほどの空手漬けの毎日で「50年に1人ぐらいの選手」と期待して手塩にかけた西村は大きく成長した。「反復練習って嫌になっちゃうんですよ。拳は顔に出さず、ひたむきに努力していた」と当時を懐かしそうに振り返った。

 努力は実る。2年時は全国総体で団体、個人組手の2冠。2、3年時は国体少年男子組手個人で連覇した。練習の虫でもあり、空手へのこだわりが誰よりも強かった。泣いて悔しがることもあった。「普段は優男(やさおとこ)だったんだけどね。負けん気は強かったから。2、3番で納得する子ではなかった」。高校3年間の成績は496戦、419勝33敗44分。勝率・845の驚異的な成績だった。

 東京五輪本番での勇姿は宮崎で見守るつもりだ。宮崎第一のOBでは初の五輪出場。図師監督は「多分、優勝までいくと思う。勝ちにこだわる男やから。そういう気持ちでいると思う」と教え子の金メダルを確信している。

 ◆西村 拳(にしむら・けん)1995年(平7)12月31日生まれ、福岡市出身。中学まで福岡市で過ごし、宮崎第一を経て、近大に進学。現在はチャンプ所属。主な成績は、2018年の世界選手権男子組手75キロ級で銅メダル。同年の世界選手権団体組手では準優勝。1メートル80、75キロ。

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