ベイカー茉秋 復活ののろし 東京五輪代表へライバル差し切る

[ 2019年6月9日 19:54 ]

柔道全日本実業団体対抗大会最終日 ( 2019年6月9日    高崎アリーナ )

パーク24Aとの決勝で丸山と対戦するベイカー茉秋
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 男子1部で日本中央競馬会(JRA)が2年ぶり5度目の優勝を果たした。2016年リオデジャネイロ五輪90キロ級金メダリストのベイカー茉秋(24)も全3試合に出場し、1勝2分けで王座返り咲きに貢献。個人としても約1年1カ月後に迫った東京五輪での2連覇へ向け、復活ののろしを上げた。

 前回大会優勝の旭化成と対戦した準決勝。次鋒として送り出されたベイカーが対したのは、体重135キロの尾原琢仁だった。同級の選手との対戦では「7割、8割(の力)でいなせる」という馬力の持ち主も、自身の1・5倍もの体重の相手に「100%の力を出しても、岩のような感じだった」と及ばず。それでも4分間、耐えに耐えて価値ある引き分けに持ち込み「競馬会に入ってから優勝するのが一つの大きな目標だった。1、2年目は出られなかったが、自分の結果は1勝2分けだったが、チームに貢献できて良かった」と笑顔で振り返った。

 21歳で五輪王者となった後は、苦難の連続だった。翌2017年の全国選抜体重別選手権1回戦で脱臼ぐせがあった右肩を完全に脱臼。その後の精密検査で右外傷性肩関節脱臼を診断され、手術を受けた。18年2月には実戦復帰したものの状態は上がらず、「手術もあり、復帰の過程でも思うようにいかず、気持ちも落ちた時期もあった」。バーンアウト(燃え尽き)状態に陥った時期もあったが、今年4月の選抜体重別でも3位にとどまり、ようやく気持ち的にも吹っ切れた。

 選抜後、所属の賀持道明監督に「付きっきりで見てもらいたい」と自ら願い出て、練習の虫と化した。早朝から走り込みやトレーニングで追い込み、畳の上での稽古では以前はやらなかった100キロ超級の選手との乱取りにも着手。「ケガのリスクはあるが、得られるものがある」と手応えを語ったベイカーに、賀持監督も「もう一度、死ぬ気でやろうと話した。ハードにやってますよ」と目を細めた。

 90キロ級は昨年の世界選手権銅メダルの長沢憲大(パーク24)、今年の世界代表の向翔一郎(ALSOK)に加え、18歳の村尾三四郎(東海大)も力を付けており、東京五輪代表争いの男子最激戦階級。ベイカー自身、「今は3、4番手」と自覚するからこそ、「もうやるしかない。覚悟を決めて頑張ってます」。自分の心と体に鞭を打ち、大外一気で2連覇への可能性をつなぐ。

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2019年6月9日のニュース