亡き父に捧ぐファイナル1勝 ラプターズのシアカムが大活躍 カナダとともにカメルーンも熱狂

[ 2019年5月31日 14:10 ]

ルーニーとリバウンドを争うシアカム(AP)
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 チーム創設24シーズン目で初めてファイナルに進出したラプターズの勝利に貢献したのがカメルーン出身のフォワード、パスカル・シアカム(25=2メートル6、104キロ)だった。

 3連覇を目指すウォリアーズ相手に40分出場して32得点。今プレーオフ1回戦(対マジック)の第3戦で記録していた30得点を上回るプレーオフの自己最多得点をファイナル初戦でマークしてしまった。フィールドゴール(FG)は17本中14本成功。第2Qから第3Qにかけては11本連続してシュートを決め、厳しいマークにあっていた大黒柱のカワイ・レナード(27)に代わってチームのスコアリング・リーダーとなった。

 ファイナルにたどり着くまでの道のりは遠かった。アフリカ西海岸に位置しているカメルーン最大の都市ドゥアラの出身。6人きょうだいの末っ子として育ち、少年時代はサッカーをやっていた。転機は同じカメルーン出身で今季はクリッパーズでプレーしたルーク・バームーテ(32)との出会い。バームーテが母国で主宰したキャンプに参加してその才能を見出され、16歳で米国に留学した。しかし悲劇と直面。ニューメキシコ州立大1年のとき、自分を育ててくれた父チャモさんを交通事故で失ってしまった。

 「毎日のように、父が今の自分を見てくれたらどう思うだろうか?と考えている」。2016年のドラフト1巡目(全体27番目)に指名されたときにも脳裏をよぎったのは父の姿。そしてファイナルでヒーローとなったあとは「ファンの応援が凄かった。こんなことは経験したことがない。父も喜んでくれていると思う」と、スタンドと天国に向けて感謝のメッセージを送っていた。

 ドラフトでの指名順位が遅かったこともあって今季の年俸は規定により154万ドル(約1億7000万円)でしかない。レナードは2311万ドル(約25億2000万円)、そしてベテランのガード、カイル・ラウリー(33)はシアカムの年俸の15倍に相当する3120万ドル(約34億円)でプレーしているが、チーム最初のファイナルで存在感を示したのは背番号43。就任初年度でファイナルまでチームを導いたニック・ナース監督(51)は「みんなホームコートでやるべきことをやった」と全選手の奮闘を称賛したが、“第3の男”が見せた会心のパフォーマンスには手放しで喜んでいた。

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