青木功が語るゴルフ界の今。未来に向けて思うこととは

[ 2019年5月3日 05:30 ]

日本ゴルフ界について語る青木功
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 今季の国内男子ツアーは、ブレンダン・ジョーンズ(44=オーストラリア)の東建ホームメイト・カップでの逆転優勝で幕を開けた。同ツアーを管轄する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長(76)は、タイガー・ウッズのマスターズ復活Vがゴルフブーム再来のきっかけになると予想する。米ツアーや韓国ツアーとの共催に加え「ゴルフ女子」の開拓など、人気回復策を次々と繰り出す青木会長に、今季の見どころと注目ポイントを聞いた。

 ――今季の注目ポイントはどういうところですか

 「昨年は初優勝者が13人出た。彼らがもう一回踏ん張って2勝目、3勝目を挙げてくれたらいい。常々、1回、2回じゃダメだぞと言っている。それにタイガー・ウッズがマスターズで勝った。あれで選手のモチベーションが上がったんじゃないかと思っている。5年間ツアーで勝てなかったけど、昨年のツアー選手権で復活優勝した。そしてマスターズでああいう形で勝った。口には出さなくてもひょっとしたら自分も、と考えている人がたくさんいる気がする。タイガーが勝ったことによって、また凄いゴルフブームが来るような感じがする」

 ――ここ数年、男子の世代交代は進んでいます

 「そういうのはあります。ただ、1回勝った翌週に予選落ちするのは困る」

 ――勝負に対する執念、ガッツがもう少しほしい

 「そうですね。ハングリー精神というのはみんな持っているんだろうけど、表に出しにくいのかな。自分たちの頃は、勝つことしか頭にないから。当時はジャンボ(尾崎)や(中嶋)常幸や杉原(輝雄)さんら(強い選手が)いっぱいいたじゃない。常に彼らに負けないようにと思っていた。だから、そのためのトレーニングや練習が全然苦にならなかった。彼らに勝つためにやらなきゃいけないわけだから」

 ――では若手選手に望むことは?

 「一言でいうとゴルフに対して没頭しろということ。自分はうまいと思いながら、一方で常に自分を疑うこと。疑問を持ってやっていれば、前に進んでいける。これでいいやと思ったら進歩はない。そしてプラス思考」

 ――今年は米ツアーのZOZOチャンピオンシップや韓国ツアーのShinhan Donghae Open(シンハン・ドンヘ・オープン)など面白そうな試合が増えた

 「選手は相当緊張すると思う。でも“日本のコースは俺たちの方がよく分かっている”と自信を持って挑めば結構チャンスはある」

 ――日本選手の活躍も期待できる?

 「ありますよ。逆に(米ツアーの)みなさんどうぞやってください、ではプロじゃない。厳しい環境があるからこそ、達成感がある。そういうものが一つでも二つでも多くなれば、選手は育つ。日本でやるのに自分たちが負けるわけはない。それくらい思いすぎてもいい。やる場所は日本だと考えたら、結果も変わってくる」

 ――shinhanのような海外の試合は成長の機会にもなる?

 「なりますよ。ゴルフ場の芝質とかデザインが日本と違ったりするわけだから。自分はスライスボールなんだけど、ここはスライスで攻めきれないということがあったりするじゃないですか。環境の違うところでやったら、技術の引き出しがいっぱいになる」

 ――今年はファン開拓のために新たな試みもスタートする

 「“JGTOゴルフファンプロジェクト”を始めました。AbemaTVツアーの試合でプロアマのない試合が半分ほどある。そのスポンサーのプロアマがない試合で、JGTOが独自にプロアマを主催する。そこに女性のゴルフファンに参加してもらって、選手と交流する企画。通常のプロアマはスポンサーのお得意さまが参加するけど、われわれが集めるのはファン、しかも女性ファン。その方たちに選手のファンになっていただいて、その選手がレギュラーツアーに上がった後も応援してもらえたらいいなと思っています」

 ――今年はそれを何回催す予定ですか?

 「1年目なので、まずは1試合。HEIWA・PGMチャレンジ1でやります。それ以外にもPGMの銀座の新しいインドア練習場で、女性ファンを集めたレッスン会も開いた。あとは5月の太平洋クラブチャレンジの時に東京駅からバスをチャーターして観戦ツアーも実施する。普段見られないようなところを観戦できたり、レストランに入れたりと、いろいろなファンサービスを考えている。今年の大きな施策の一つが“発信力を高める”なので、私もSNSで発信していく。インスタグラムとフェイスブックも始めました」

 ――いろいろと手を打っている?

 「女性ファンをつかまないと未来はない。今年はそれを積極的に推進していきたい」

 ――20年東京五輪もあと1年。選手にはそこを目指して頑張ってもらいたい?

 「そこに行き着くように、今を大事にしていったらいいんじゃないかな。一つ一つの積み重ねだと思うんだよね。今平(周吾)だって1回しか勝たなくても賞金王になった。それと同じように、ああいう積み重ね。持続力だよね、やっぱり」

 ――会長も若ければ出たい?

 「出たいよ。30歳若ければ。ただ“日本でやるなら俺に任せろ”と言ってくれるような選手が3、4人出てきたらいいなと思うんだ」

 ――若手もベテランも頑張ってほしい

 「ベテランが自分たちが行けそうだなって言ったら、若手が冗談じゃない自分たちが行きますよっていう感じ。そういう競い合いを言葉で表さなくてもプレーで見せてくれればと思う」

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