大輔、2位も世界選手権は辞退「戦う覚悟が持ちきれなかった」

[ 2018年12月25日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権最終日 ( 2018年12月24日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

5年ぶりの全日本で見事2位に輝いた高橋(撮影・小海途 良幹)
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 男子フリーが行われ、5年ぶりに出場した10年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(32=関大KFSC)は151・10点、合計239・62点で2位に入ったが、来年3月20日開幕の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)の代表は辞退した。今季は今大会が最後も、現役続行を明言した。平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(21=トヨタ自動車)が187・04点、合計289・10点で3連覇を達成し、羽生結弦(24=ANA)らと世界選手権の代表に入った。

 一つの挑戦は終わった。よろめきながらも力を振り絞った。結果として、周囲を振り回すことになったとしても、表彰台に立った高橋には、新たな感情が芽生えていた。1年限定のつもりで現役復帰を果たしたが、日本最高峰の舞台はやはり心地良い。「(現役を)やめるつもりはない。スッキリ終われない。もう少しできるはず、という気持ちが出てきた」。平成最後の全日本選手権。それはレジェンドが現役続行を宣言するほど素晴らしい場所だった。

 消化不良のフリーの演技が、逆に高橋の闘志に火を付けた。6分間練習で降りた4回転トーループを冒頭にチャレンジしたが、3回転で終わった。基礎点の上がる終盤の全ジャンプでもミスが出て、スピン、ステップも疲れからか本来の切れが出なかった。表彰台にこそたどり着いたが、フリーでは4位。「高い緊張感の中でやれる練習量が足りなかった」。演技終了後には、思わず苦笑いしてしまう内容だった。

 何とか手にした表彰台。だが、晴れ舞台は後輩に譲ることにした。表彰式後に発表された世界選手権の代表に選ばれたものの、連盟の事前調査に辞退の意向を示していたという。代表選手の会見後、会見場に現れた高橋は「世界と戦う覚悟が持ちきれなかった」と理由を明かした。今季から現役復帰した一番の目標は、あくまでこの全日本選手権。羽生らとともに世界で戦う姿を期待する周囲やファンの思いを感じつつも、その先を考えることはできなかった。

 振り返れば、14年のソチ五輪後に右膝が悲鳴を上げ、さいたまスーパーアリーナ開催の世界選手権への出場はかなわなかった。同五輪を最後に一度は現役を引退。埼玉開催の世界舞台は完全復活を示す舞台でもあったが、別の感情もあった。「本当だったら出たかった。現役復帰を2年前に決断していたら、挑んでいたかもしれない」。そう語った32歳は「今、日本を引っ張っている選手たちがプレッシャーのかかる大きな舞台を経験する。日本のスケートが盛り上がっていくためには、若い選手がその舞台を経験することが大きい」と言った。

 「今季は試合に出ることはない」。高橋の華麗な舞はしばらく見られない。だが、第一人者の思いは、日本フィギュア界の未来につながる。「いろんな後輩たちが成長して、羽生君、昌磨を抜かしていく。これから先、どんどん抜かして、レベルアップしていく。それは自分が活躍したいのと同じくらいの思い」。復活の2位、代表辞退、そして現役続行宣言――。高橋大輔劇場となった平成最後の全日本が幕を閉じた。

 ▽世界選手権男女代表選考 男女ともに3人で、全日本選手権優勝者が最優先で代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナル上位2人、全日本終了時の世界ランキング上位3人のいずれかを満たす選手から判断する。3人目はここで漏れた選手や今季の世界ランク、国際スケート連盟公認の合計得点でそれぞれの上位3人のいずれかを満たす選手から決める。

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