部屋一丸でつかんだ大関昇進

[ 2018年6月5日 10:00 ]

「親方の教えを守り、力士の手本となるように」など、自分の言葉で口上を述べる栃ノ心(中)。右は師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、左は春日野親方夫人の紀子さん
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 【黒田健司郎のくつろぎタイム】JR両国駅から徒歩で7、8分。相撲の聖地からも徒歩圏内にある春日野部屋が久々に活気づいた。ジョージア出身の関脇・栃ノ心の大関昇進が正式決定した5月30日は、周辺住民やファンなども駆けつけ、祝福ムードに包まれた。

 第27代横綱、栃木山の流れをくみ、力士は「栃」のしこ名をつけることが多い。栃ノ心は「日本の心を持つように」という願いもこめられ、誰からも愛される力士に成長。「師匠の教えを守り」という口上も話題となった。現在も栃ノ心をはじめ、栃煌山、碧山が幕内で活躍。力士は20人をかぞえ、勢いのある部屋だが、大関昇進は同時昇進だった先代師匠の栃ノ海、栃光以来、56年ぶりだという。意外と長い間、横綱、大関不在だったのは不思議に感じられるが、関取は1935年(昭10)から83年間続いており、現存する相撲部屋では最長記録。角界きっての名門だ。

 これだけ長い間、隆盛を極められるのは師匠の指導、スカウトの充実によるものも大きい。驚かされるのは、部屋付きの親方の多さだ。所属は、富士ケ根親方(元小結・大善)、竹縄親方(元関脇・栃乃洋)、二十山親方(元小結・栃乃花)、三保ケ関親方(元幕内・栃栄)、岩友親方(元幕内・木村山)、待乳山(元小結・播竜山)の6人。四つ相撲、突き押しなど多士済々の面々がそろう。師匠の教えはもちろん、稽古場などで熱心な指導が弟子たちの成長を支える。岩友親方は引退して4年が経つというのに、まわしを締めて栃ノ心に胸を出しているという。

 幕下以下でも埼玉栄高出身の塚原ら有望株もスタンバイ。久々の大関昇進でさらに活気が出ることは間違いない。

 余談だが、栃ノ心の本名はレバニ・ゴルガゼ。この名前を見て、ある料理が思い浮かび、付け人に聞いてみた。「レバニはレバニラが好きみたいですよ」。入門当時の岩手合宿で、当時は食べることが許されていた生レバーをひたすら食べていたエピソードがある。もっとも、今は納豆が大好物。「レバニではなく、“粘り”」でした。(専門委員)

 ◆黒田 健司郎(くろだ・けんしろう) 1990年入社。愛知県出身。競馬、サッカー、海外スポーツ、相撲、プロレス、モータースポーツ、野球(デスクですが)と担当し、現在はゴルフ。五輪系を残してコンプリート。空手は二段。

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