パラアイスホッケー まるで格闘ゲーム 心肺機能や疲労度をリアルタイムで可視化

[ 2018年3月10日 11:00 ]

パラアスリートを支える(1)

タブレット端末に選手の心拍が表示される
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 アスリートが4年に1度の大舞台にたどり着くまでには、多くの人々の支えがある。それは五輪もパラリンピックも同じ。パラアスリートを支える企業や団体、個人のサポート活動などを「支える力」と題し、平昌パラリンピック期間中、10回にわたって紹介する。初回は心拍計の活用で2大会ぶりのパラリンピック出場権を確保したパラアイスホッケーチームだ。

 パラアイスホッケー日本代表の練習会場、長野・岡谷やまびこスケートの森アイスアリーナのリンク脇に見慣れないデータを映し出す大型モニターが置かれている。昨季からチームが取り入れた「ハートレートモニター(心拍計)」だ。選手の心拍数を色と数値でリアルタイム表示。格闘ゲームのように、目で選手の心肺機能や疲労度などを確認することができるチームの秘密兵器となっている。

 このシステムを導入したのは、昨季から代表チームに加わった長野保健医療大准教授の赤羽勝司トレーナー(52)だ。「これまではどれだけ疲労がたまっているとか、試合前にどのくらい心拍数を上げたらいいのかは全部主観だった。選手自身が自分の身体能力を知るべきと考えた」と導入の意図を明かす。

 選手は心拍を測る装置を胸に取り付け、一般向けに提供されているアプリを使って最大心拍などを測定。リアルタイムで心拍数を色ごとに表示して、練習中でも瞬時に自身で心拍数が分かるようにした。

 試合前、氷上に乗ってから15分間のアップだけでは十分に体が温まらないこともあるという。心拍数をモニターで確認。上がりきらない選手は陸上トレーニングなどで心肺機能を上げてから、試合に臨むことが可能になった。「今までは第2ピリオドから温まってくる選手もいた」がそれがなくなったと赤羽トレーナーは言う。

 心拍が分かると選手の疲労度も分かる。平均年齢41・8歳の“高齢チーム”が連戦を戦うには疲労をためずにコンスタントに実力を発揮できるコンディショニングは必須条件。赤羽トレーナーは「後々のケアも考えて選手起用ができるはず」とバンクーバー大会以来のメダル獲得へ、サポートに余念はない。

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