貴親方の理事解任理由列挙、異様30分 相撲協会が正当性強調

[ 2017年12月29日 05:30 ]

臨時理事会を終え、高野危機管理委員会委員長(右)が理事会の内容を説明する横で厳しい表情の八角理事長
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 冒頭から30分にわたる責任追及は、異様な光景だった。日本相撲協会の臨時理事会後の会見は貴乃花親方の“非難”に近かった。理事解任が確実となった同親方の処分が、いかに正当なものかを延々と陳述。「本件に関する貴乃花親方の責任について」と題された5枚つづりの配布資料には、理事解任を提案した理由が、びっしりと記されていた。

 危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)は傷害事件の発生以降、「報告義務」と「調査への協力拒否」の2点で貴乃花親方が「忠実義務に違反」しているとした。そして、双方の点で「被害者側の立場にあることを勘案しても、その責任は重い」と強調した。

 まず、報告義務違反については「被害届の提出前、遅くとも提出後には速やかに日本相撲協会に報告すべき義務があった」と改めて理事、巡業部長としての行動を問題視。その上で、親方としての資質にも言及した。貴乃花親方が事件発生から3日間、親方として弟子から詳細を聞き出せなかったことに触れ「弟子に対する指導監督の責任を果たしえないことを意味している」と批判した。

 もう1点の「調査への協力拒否」についても同様に、不誠実として「合理的な理由はない」と断じた。

 早急な解決を妨げたとして同親方の責任を長時間、舌鋒(ぜっぽう)鋭く問う一方、同委員長の歯切れが悪くなる場面もあった。

 11月1日に鳥取県警から協会に事件の報告がされながら11日の理事会でも議題に上がらなかったいきさつを問われると「警察からマスコミに漏れないようにしてほしい、と。具体的に捜査が始まるのは場所後だなと。(それで九州場所が)終わってからでいいか、という判断があったのではないかと…」と、やや渋い表情。“空白の10日”については「私は、もうちょっと早く危機管理委員会に連絡して対応してほしかった。協会の対応に問題がなかったわけではない」と苦言を呈さざるを得なかった。

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