【記者の目】バランス欠いた処罰 被害者側と加害者側が同じ2階級降格とは…

[ 2017年12月29日 09:20 ]

今月行われた研修会で話を聞く貴乃花親方(中央)と伊勢ケ浜親方(右端)
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 被害者の師匠である貴乃花親方と加害者側の伊勢ケ浜親方は同じ2階級降格。結果だけを見れば、おかしな話である。なぜ被害者側の親方が加害者側の親方と同じ扱いになってしまうのか。

 危機管理委員会は、貴乃花親方が巡業部長として適切な報告を行っていなかったと再三指摘。さらに危機管理委員会の調査に非協力的だったことを非難した。しかし、協会は貴乃花親方がなぜ警察の捜査に全てを委ねる決意をしたのか。その根本理由がどこにあったのか。そのことをもっと真剣に突き詰めるべきではなかったか。

 協会は11月1日に警察から捜査協力の要請を受け、初めて被害届が出されていたことを知った。だが、その時点では危機管理委員会に調査を依頼していない。それに関しては、高野委員長も苦言を呈している。また、暴行が明らかになった九州場所中。貴ノ岩の診断書を書いた病院の見解として、貴ノ岩が出場可能だったと受け取れるような文書をあえて公表した。貴ノ岩側にしてみれば、そうした行為に不信感が膨らんだのは間違いないだろう。

 八角理事長は貴乃花親方の理事解任を処罰ではなく、人事措置と苦肉の説明をした。理事候補選挙に出馬できる道を残したことでペナルティーの「実」より「名」を取ったのだろうが、被害者と加害者の処置のバランスを欠く印象となったのは間違いない。(編集委員・大渕 英輔)

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2017年12月29日のニュース