白鵬、藤井四段に伝えた“最強道” 通算最多勝利にあと「7」

[ 2017年7月13日 05:30 ]

大相撲名古屋場所4日目 ( 2017年7月12日    愛知県体育館 )

藤井四段(右)にプレゼントされた扇子を手に笑顔の白鵬
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 横綱・白鵬(32=宮城野部屋)が史上最年少プロ棋士の藤井聡太四段(14)が観戦する中、前頭筆頭の貴景勝(20)を一蹴した。突き押しの応酬から一転、ぶつかり稽古のような異例の展開に持ち込み、強烈な当たりを受け止めた末に寄り切った。無傷の4連勝を飾り、元大関・魁皇(現浅香山親方)の持つ史上最多1047勝に残り7勝と迫った。

 両者が見合う珍しい光景に、館内がどよめいた。突き押しの応酬後、白鵬が突然動きを止めて体を起こした。両手を広げたノーガード状態で、貴景勝を「来い!」と誘い込む。約8秒間にらみ合った後、20歳の新鋭が猛牛のように突進してきた。「攻めるより、そこで受けるように切り替えた。あとはつかんで出るだけ」。全身全霊で向かってきた新鋭を真っ向から受け止め、土俵際から一気に押し返した。

 将棋界最多の29連勝を達成した史上最年少プロ棋士の藤井聡太四段が、升席で生観戦していた。幕内優勝回数など角界の数々の史上1位記録を樹立してきた白鵬は来場を耳にし、「いい相撲を見せたい」と意気込んでいた。異例の演出を加えた“ショータイム”で千両役者ぶりを発揮し、打ち出し後には14歳と対面。「頑張れよ」とエールを送った。「弟分ができた。静かさの中に強さがあった」。18歳下の棋士を気に入った横綱は「またゼロから挑戦して自分の記録を塗り替えてほしい。若いから彼にはチャンスはなんぼでもある」と自身の若い頃を思い出すように言葉を贈った。

 初日から4連勝を飾り、通算勝利数も史上最多の1047勝まであと7勝。大記録に挑む中、誰にもまねできない横綱相撲を披露するあたりに余裕が表れている。自身2度目の相撲観戦となった藤井四段からは「汚い字でアレですが…」と恐縮しながら「達心志」と書き込まれた扇子を渡された。弟分として認められた藤井四段も「自分も白鵬関のように堂々とした将棋を指したい」と憧れを口にした。

 若い力士の壁になり、綱の威厳を示した最強横綱。日本中を沸かせた天才少年の心もわしづかみにし「これで横綱も一生懸命やっているんだという気持ちになってもらえれば」と胸を張った。4横綱のうち、鶴竜がこの日から休場し、稀勢の里と日馬富士はそれぞれ不安を抱えている。今場所も中心となった白鵬は「託されていると思ってしっかり相撲を取りたい」と力強い言葉を残した。

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2017年7月13日のニュース