帝京大 歴史塗り変えたV8 14点差逆転、岩出監督8度舞い

[ 2017年1月10日 05:30 ]

ラグビー全国大学選手権決勝   帝京大33―26東海大 ( 2017年1月9日    秩父宮 )

<帝京大・東海大>優勝し、歓喜の帝京大フィフティーン
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 帝京大が33―26で東海大を下し、史上最多を更新する8大会連続8度目の大学日本一に輝いた。前半に一時14点差をつけられる苦しい展開も、相手の運動量が落ちた後半にFWとバックスが一体となった攻撃で逆転に成功。岩出雅之監督(58)は137人の部員の手により8度、秩父宮の宙に舞った。日本ラグビー界で新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)、神戸製鋼の日本選手権7連覇を超える金字塔を打ち立てた帝京大は、今月21日の日本選手権準決勝(花園)で、トップリーグ王者に挑戦する。

 学長や大学幹部に先を譲っていた岩出監督が、最後は観念して137人の部員へと歩み寄った。たくましい腕に身を委ねる。優勝を重ねるたびに増えてきた胴上げの回数は、この日はもちろん8度。午前中の雨から一転、晴れ上がった空へと夢見心地で舞った。

 「しびれました。厳しい展開だったけど、必ず打ち破ってくれると信じて見ていた。ラグビー界では8連覇は重い数字ですので」

 最も苦しい決勝だった。前半6分にパワープレーで最初のトライを奪われ、同17分にはスクラムトライを許した。7連覇中の決勝では、一度も背負ったことがない14点のビハインド。2トライを返して14―14で折り返したものの、後半も開始直後にインターセプトからトライを許した。

 ただ、真骨頂はここからだった。相手の運動量が落ちた後半15分。相手ドロップアウトから一気のカウンター攻撃でロック姫野が縦突破後、CTB矢富が同点トライを奪った。同23分にも自陣からの連続攻撃で相手を背走させ、WTB吉田が勝ち越しのトライ。フランカー亀井主将は「相手(の動き)が止まったところで取り切れたのが良かった」と振り返った。

 昨季までスクラム指導を受けていた相馬朋和コーチ(現パナソニック・ヘッドコーチ)がチームを離れ、今季のスクラム練習は週1度に減った。岩出監督自身が「弱点になることを覚悟して、実際にそうだった」と言うように、武器の一つを失ったが、代わりに時間を割いたのがボールを大きく動かすアタックの練習。卒業後にトップリーグへ進む選手の将来を考えた戦術を浸透させての頂点。「勢いだけだった」という連覇序盤にはなかった帝京大ラグビーの成熟がそこにはあった。

 次に狙うはプロ野球・巨人の栄光を象徴するV9。岩出監督は「9連覇する目標を、後半たちがしっかり受け止めて頑張りたい」と言った。死力を尽くして成し遂げた連覇を、後輩たちが連綿と引き継いでいく。

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2017年1月10日のニュース