沙羅「再現力」で6戦5勝 トレーナー大絶賛“理想の動き何度でも”

[ 2017年1月10日 05:30 ]

W杯ジャンプ女子第6戦 ( 2017年1月8日    ドイツ・オーベルストドルフ=HS137メートル、K点120メートル )

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第6戦で、今季5勝目を挙げ笑顔の高梨沙羅
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 2年連続の総合女王を狙う高梨沙羅(20=クラレ)が124メートル、129メートルの合計263・0点で優勝。3連勝で今季5勝目、通算49勝目を挙げた。1回目トップの高梨は2回目に最長不倒をマーク、2位エマ・クリネツ(スロベニア)に28・9点差で圧勝した。男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)が持つ歴代最多の通算53勝にあと4と迫り、札幌と山形市蔵王での国内開催4連戦に臨む。

 雪が降りしきり、風向きはくるくる変わる。新雪が覆う着地点は滑りやすく、選手の心を揺さぶった。だが、ライバルが苦しんだ悪条件も高梨には無関係だった。「難しい条件だったが、まずまずのジャンプを2本そろえられた。自分のジャンプに集中して飛ぶことができた」と、不利な追い風の中、ただ1人K点(120メートル)越えの飛躍をそろえた。

 横風を受けたという1回目は着地でテレマーク姿勢を完璧に入れられなかったが、最長不倒の2回目は飛型点もまずまず。2位クリネツも「サラを倒すのは大変。尊敬している」と脱帽するしかなかった。

 トレーナーとして高梨を指導する牧野講平氏は別次元のジャンプの要因に「再現力」を挙げる。理想の動きを体に染み込ませ、寸分の狂いなく何度でも再現できる能力は、これまで担当したフィギュアスケートの浅田真央(中京大)や、大リーグ、ドジャースの前田健太をしのぐという。筋力は高くなく、球技をやらせても腕前は人並み。だから高梨を「ジャンプの申し子」と呼ぶ。

 ジャンプのW杯通算最多勝まであと4勝。14、15日は札幌、20、21日は蔵王とW杯4連戦が控えるが、昨年は4連勝しており、国内開催での記録到達を射程内に捉えた。「日本での4連戦につながるジャンプができた。たくさん応援してくれる人がいる方が楽しく飛べる。(喜びを)周りと共有できる」。日本ではこの日が成人式。20歳の女王はその瞬間へ、心躍らせている。

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