熊本出身全5選手好スタート!野口 プロの覚悟で出場2位発進

[ 2016年4月23日 05:30 ]

4アンダーと好発進に笑顔の野口彩未

女子ゴルフツアー・フジサンケイ・レディース第1日

(4月22日 静岡県伊東市 川奈ホテルゴルフコース富士コース=6367ヤード、パー72)
 火の国の女たちはこんなにも強い!震災に見舞われている熊本県出身の20歳、野口彩未(フリー)が1イーグル、3バーディー、1ボギーの68をマーク。首位と2打差の2位と好発進した。熊本地震の影響で前週のKKT杯バンテリン・レディースが中止され、2週ぶりとなったツアー開催で2位には同じく熊本県出身の上田桃子(29=かんぽ生命)ら10人が並び、66で首位に立った笠りつ子(28=京セラ)も同郷。今大会に出場している熊本県出身のプロ5人が、全員アンダーパーで滑り出した。
【第1R】

 あどけなさが残るプロ3年目の20歳。これまでベストスコア73で出場したレギュラーツアー全7戦で予選落ちしてきた野口が、68の好スコアと初のアンダーパーをマークした。首位と2打差の2位と最高の船出。「みんなに元気になってもらえるプレーがしたいけど、今までの成績じゃ難しい。でも、そういうことを考えないで一打一打に集中した」。力になったのは他でもない熊本だった。

 14日の地震で熊本市内の自宅アパートは家具が倒れるなどの被害。その瞬間はアパートの駐車場で「急いで(併設する)駐輪場の屋根の下に逃げた」という。16日未明の本震では家具が倒れて調度品が頭上から落ちてくる中を必死で逃げ「その日は震えた」と恐怖を味わった。現在、母・恵美さんは野口が通う市内の練習場の駐車場で車中泊の避難生活。今大会に向けては「本当は出るつもりはなかった。お母さんが心配だし、熊本を離れたくなかった」と漏らしたが、恵美さんと師事する中田貴章コーチから「プロなんだから覚悟を持って仕事しなさい」と?咤(しった)され、出場を決めた。

 そんな状況でも開幕前に中田コーチからインパクトで手首を返しすぎる癖を指摘され、意識して練習。この日は13番パー4で残り140ヤードの第2打を8Iで直接放り込んでイーグルを奪った。直後の14番でリーダーボードを確認すると、熊本勢の笠が首位。「難しいホールが続くので私も踏ん張ろうと思った」と気合を入れ、難関の17、18番をパーで乗り切った。

 卒業した江南中の校庭には「のみ水ください」と支援を求めるメッセージが書かれ、同じく母校の熊本国府高でも校庭の「SOS」の文字がテレビなどで報道された。痛々しい被災地の現状。「あれを見て胸が締め付けられる思いがした」と明かす。それでも「ゴルフしかできないと感じて静岡に来た。まずは予選通過が目標だけど、一つでも伸ばせるように頑張りたい」と力を込めた。腹をくくった火の国の女は、こんなにも頼もしい。

 ◆野口 彩未(のぐち・あやみ)1995年(平7)11月4日、熊本市出身の20歳。小学4年でゴルフを始める。当時は新体操や水泳などの習い事と並行してゴルフを練習したが、中学1年でプロゴルファーになる意思を固める。熊本・国府高卒業後、14年のプロテスト合格。今季は最終予選会40位の資格でツアー出場。1Wの平均飛距離は240ヤード。得意クラブは7I。趣味は食べることと寝ること。好きな食べ物は肉と桃。1メートル63、61キロ。

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