羽生“今季最高”締めも自己ベスト届かず「今の実力」

[ 2015年4月18日 05:30 ]

鮮やかなスピンを決める羽生。今季最終戦で好演技を披露した

フィギュアスケート 世界国別対抗戦第2日

(4月17日 東京・国立代々木競技場)
 男子フリーでソチ五輪金メダリストの羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が192・31点をマークし、16日のショートプログラム(SP)に続いて1位になった。昨年11月の中国杯の激突事故や人生初の手術など、アクシデント続きの今季だったが、最終戦で好演技を披露した。国別対抗の今大会は各種目の順位点で争われ、日本は79点で2位。米国が83点で首位に立っている。

 演技を終えた羽生が、目を閉じて「ありがとう」とつぶやいた。冒頭の4回転サルコーを完璧に着氷。4回転トーループが3回転になり自己ベストの194・08点には及ばなかったが、トップの192・31点をマークした。公式記録に残らない合計点は“今季自己ベスト”の288・58点。「悔しい。これが今の実力だと思う」と今季最後の「オペラ座の怪人」を振り返った。

 注目を浴びるスケーターとして、自らの立場を再認識するシーズンだった。昨年11月、中国杯での激突事故の後、スポーツにおける脳振とうの危険性、6人で滑る公式練習の在り方が議論された。「僕がテレビとかに出ていなくて、地方大会で下の順位でやっている選手ならニュースにならなかった」。そして、こう続けた。「命に関わることが起こり得るということを皆さんが考えてくれた。僕はホントに恵まれている、特別なんだと思った」と。

 昨年末に腹部の手術を受け、古傷の右足首も捻挫するなど逆風ばかりの今季は終わった。「成長したところは?」と問われると、「まず成長していないところから挙げると…」と切り出した。「手術は仕方ないとしても、自己管理や注意不足。皆さんが思っている以上に自分のせいだと思っている」と自らを責め、「サルコーに関してはきれいに跳べるようになってきた」と収穫を口にした。

 昨季は五輪金メダリストという称号を得たが、今季は世界選手権でフェルナンデス(スペイン)に敗れて銀メダルに終わった。「五輪王者だとしても、世界王者を取られてしまったのは変わらない。大切な試合を取り逃して悔しい」。王座奪回を狙う来季、プリンスはこんな理想像を描いている。「ジャンプが決まらなくても、うまくなったなって思えるスケートをしたい」――。

続きを表示

この記事のフォト

2015年4月18日のニュース