沙羅 逆転10勝!W杯日本人最多タイ19勝でいざ五輪!

[ 2014年2月3日 05:30 ]

W杯ジャンプ女子第13戦で優勝し、女子シーズン単独最多の10勝目を挙げた高梨

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第13戦

(2月2日 オーストリア・ヒンツェンバッハ=HS94メートル、K点85メートル)
 高梨沙羅(17=クラレ)が五輪前最後の試合を優勝で締めくくった。1回目は88・5メートルでダニエラ・イラシュコ(30=オーストリア)に次ぐ2位だったが、2回目は最長不倒の92・5メートルをマーク。合計245・2点で2日連続の逆転勝ち。女子シーズン単独最多の10勝目を挙げるとともにスキーでは複合の荻原健司に並ぶ日本人最多タイのW杯通算19勝目となった。高梨とともにソチ五輪代表の伊藤有希(19=土屋ホーム)が6位、山田優梨菜(17=長野・白馬高)は2回目に進めなかった。

 会場に流れる君が代を表彰台の真ん中で引き締まった表情で聴いた。五輪前の最後の試合。「勝って次に行けるのは自信になる」。今季13戦10勝の圧倒的なリザルトを残し、国歌も聴いてリハーサルは全て完了した。女子ジャンプにとって、高梨にとって、初の五輪がいよいよやってくる。

 「一試合一試合に向けて全力で走ってきたという自信はある。何か足りなかったとしたらそれは自分の準備不足。終わった後に反省すればいい。今はベストを尽くすことしか考えない」

 わずかに追い風の吹く穏やかなコンディション。1回目は低い飛び出しから最後のひと伸びが足りず2位にとどまった。しかし、2回目に早くも修正。テークオフからふわりと浮き立った飛行曲線はヒルサイズに迫る92・5メートルまで伸びた。着地した瞬間に「自然に出た」と両手でガッツポーズ。飛型点もトップの圧巻のジャンプだった。

 これまでは1回目で首位に立つ逃げ切りが多かったが、2日連続の逆転で新しい勝ちパターンも手に入れた。W杯通算19勝はスキー競技では荻原健司に並ぶ日本人最多勝。「偉大な選手に並べたのは自信になる」と喜んだ。

 現地のテレビ解説を務めたアンドレアス・ゴルトベルガー氏(41)もその強さに目を見張った。W杯総合3連覇、通算20勝の90年代を代表する名ジャンパー。「素晴らしい才能だけでなく、ハードワークを継続的にしているからこそ活躍できる。今の成功は偶然ではない」とし、「女子ジャンプもやるじゃないかと思わせられたら素晴らしい」と期待を込めた。

 取材エリアではイラシュコが背後から忍び寄ってきた。突然シャンパンのボトルを口に近づけられた高梨は思わずのけぞって苦笑い。そのイラシュコやサラ・ヘンドリクソン(米国)らが集う五輪の戦いについて「イメージはできないけどワクワクした試合になると思う」と胸を高鳴らせた。

 9日間6戦のハードスケジュールを終え、3日にソチへと移動する。現地での練習開始は8日から。長い遠征のつかの間の休養になると同時に、心身を高めていく最後のチャンスでもある。五輪本番は11日(日本時間12日午前2時30分)。11年4月に女子ジャンプの採用が決まってから約3年。マークシートを一つずつ塗りつぶすように重ねてきた準備は、全てこの時のためにやってきた。

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2014年2月3日のニュース