遠藤“人気者対決”制し2勝目!小学生時代の倍返し!

[ 2013年9月18日 06:00 ]

舛ノ山を上手投げで下し2勝目を挙げた遠藤

大相撲秋場所3日目

(9月17日 両国国技館)
 平成生まれの人気者対決第一章は遠藤(22=追手風部屋)に軍配が上がった。昭和以降最速となる所要3場所で新入幕を迎えた遠藤が全力ファイトで人気急上昇中の舛ノ山(22=千賀ノ浦部屋)を上手投げで退け、2勝目。小学生時に2度負けている同学年の人気者を、昨年のアマチュア横綱が人気と実力で“倍返し”を果たした。

 制限時間いっぱい。本来であれば、立ち合いの緊迫感から静寂が訪れるはずの瞬間。だが、客席から「えんどー!」という黄色い声援が飛ぶと、それに負けじと年配男性が「ますのやまー!」と太い声で対抗する。行司が「待ったなし」と宣告しても、2人のしこ名を叫ぶ声は止まらない。そんな中、角界の将来を担うであろう平成生まれの人気者対決は幕を開け、そして勝ったのは遠藤だった。

 「“待った”と思ったけど成立だったのでびっくりした」と呼吸が合わなかったが、なりふり構わず舛ノ山が174キロの巨体を生かして前に出てきても慌てない。後ろに押されながらも、しっかりと握っていた右上手を離さず、土俵際左足一本で踏ん張って上手投げ。相手も同じタイミングですくい投げを打ってきたが「対策はしていた。ビデオを見て、すくい投げしながら体を預けてくるのは分かっていた」と完璧に見切っていた。

 90年生まれの同学年だが、歩んできた道はまるで違う。全日本優勝大会(小5)の初戦など小学生時に2度対戦しているが、いずれも全国大会の常連だった舛ノ山が勝利。「当時、彼は僕らの世代ではスーパースターでしたよ…」。一方の自分は父にドライブに誘われて向かった先が少年相撲教室で、無理やりまわしを締めさせられた身分の「ペーペー」。そんな格差はあったが、当時大相撲で大活躍していた横綱・朝青龍に憧れて地道に稽古を積み重ねた。
 
 中学時から頭角を現すと、その後は金沢学院東高、日大と相撲エリートの道を歩んだ。幕下10枚目格付け出しの資格を得て今年春場所に鳴り物入りでデビュー。中学卒業後に入門して11年秋場所に入幕した舛ノ山から遅れること2年、史上最速、所要3場所で幕内まで駆け上がり、そして、この日、ついに小学生時代の借りを返した。

 ただ、平成の人気者対決を制し、白星を先行させても「勝つときは勝つ。負けるときは負ける」と心は揺れない。帰り際にも大勢のファンに囲まれたが表情は一切崩れなかった。その姿は甘いマスクと実力を兼ね備えた“スター”のそれだった。

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2013年9月18日のニュース