母は強し!北海道銀行“カーママ”日本代表に!

[ 2013年9月18日 06:00 ]

最終予選出場が決まり、喜ぶ北海道銀行の(左から)小笠原、船山、小野寺、吉田、苫米地

カーリング ソチ冬季五輪世界最終予選代表決定戦最終日

(9月17日 札幌・どうぎんカーリングスタジアム)
 ベテランの力で代表切符を獲得した。4戦先勝方式の女子決勝第4戦が行われ、北海道銀行が中部電力を8―5で破り、1次リーグの成績を含めて4勝2敗とし、日本代表に決まった。02年ソルトレークシティー、06年トリノと2度の五輪を経験している小笠原歩(34)と船山弓枝(35)は06年以来7年ぶりに日の丸を背負う。世界最終予選は12月にドイツ・フュッセンで行われ、女子は7カ国が参加して残り2枠の五輪出場権を争う。

 8―5で迎えた最終エンド。サード船山の第2投は相手の2つのストーンをハウス外にはじき出す「ダブルテークアウト」。残り2投で3点差逆転が不可能になった中部電力はギブアップ。勝負が決すると、北海道銀行の4人は氷上で歓喜の輪をつくった。小笠原は目を真っ赤にし「難しい角度から(船山が)スーパーショットを決めてくれた。うれしくて張り詰めていたものが切れてしまった」と振り返り、船山は「仲間を信じてここまで来られた。チームワークの勝利」と声を上ずらせた。創部3年目で日本代表の座を勝ち取った。

 勝敗を分けたのは経験値だった。小笠原、船山はトリノ五輪後に結婚と出産を経験。女子大生の小野寺らを加えて本格的に活動を開始したのは11年だった。小笠原は「五輪よりも選考会の方が緊張する」と精神面の戦いになることを見越し、大会序盤からミスをした若手に怒りをあらわにしてきた。萎縮してしまえばそれまでだが、若手は期待に応えようと奮起。最終エンドでは小野寺が中部電力の2個のガードを豪快に飛ばして貢献し「毎日活を入れられたが、決勝はいいプレーができた」と胸を張った。

 技術面の成長もあった。男子の札幌と度々練習をともにし、以前は力の差は歴然だったが、今年に入って札幌を負かすこともしばしばあった。それまでは自分たちのショットを決めようという思いが強く我流の攻めを展開していたが、新シーズンになって一変。札幌のスキップ阿部は「相手を困らせるようなショットを打ってくるようになった」と明かした。今大会も不利な先攻では中部電力が攻められないようにハウス内に石を並べるなど、戦略で上回った。

 試合終了後、中部電力の市川が駆け寄り、小笠原と涙で言葉を交わした。「(中部電力は)最終予選への権利を取ってきた。(市川)美余の涙を無駄にしてはいけないと思う」と小笠原。自身3度目の五輪出場切符獲得へ向け、“カーママ”は早くも最終決戦を見据えた。

 ▽ソチ五輪出場への道 五輪出場枠は10カ国で、世界選手権のポイントと開催国枠(ロシア)で既に8カ国が決定している。残り2枠を争う世界最終予選は12月10~15日にドイツ・フュッセンで行われ、女子はドイツ、日本、中国、イタリア、ラトビア、チェコ、ノルウェーの7カ国が参加。総当たりリーグ戦の上位3チームがプレーオフに進出し、1位と2位の試合の勝者がまずは出場権獲得。その試合で敗れたチームは3位と対戦し、勝者が最後の出場権獲得となる。

 ◆小笠原 歩(おがさわら・あゆみ)1978年(昭53)11月25日生まれ、北海道北見市(旧常呂郡常呂町)出身の34歳。旧姓小野寺。中学1年でカーリングを始める。02年ソルトレークシティー、06年トリノ五輪女子日本代表。1メートル55。

 ◆船山 弓枝(ふなやま・ゆみえ)1978年(昭53)4月5日生まれ、北海道北見市(旧常呂郡常呂町)出身の35歳。旧姓林。中学1年でカーリングを始める。02年ソルトレークシティー、06年トリノ五輪女子日本代表。1メートル53。

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2013年9月18日のニュース