東洋大 ぶっちぎり完全V!復路も大会新マーク

[ 2012年1月4日 06:00 ]

総合優勝を果たし、胴上げされる東洋大の柏原主将

第88回東京箱根間往復大学駅伝競走

(1月3日 箱根・芦ノ湖~東京・大手町、復路5区間109・9キロ)
 東洋大が圧倒的な強さで2年ぶり3度目の総合優勝を飾った。総合タイムは昨年早大が出した大会記録を8分15秒も短縮する10時間51分36秒。往路に続いて復路でも新記録をマークし3年ぶりの“完全制覇”となった。2位の駒大との9分2秒差は平成に入って最大。5区で区間新を出した柏原竜二主将(4年)は2年ぶり3度目の金栗四三杯(大会MVP)も獲得し、最後の箱根を最高の形で締めくくった。
【箱根駅伝2012】

 澄んだ青空の大手町で柏原が3度宙に舞った。酒井監督、アンカーの斎藤に続いて行われた歓喜の胴上げ。「空がきれいでした。キャプテンらしいことは何もしていない。みんなのおかげ」。最後の箱根をチームの絆で制した東洋大の主将は照れくさそうに笑った。

 往路で5分7秒もの貯金をつくっても、守りには入らなかった。6区では昨年同区で早大に逆転を許した市川が区間賞の快走を見せる。7区では設楽悠が区間新、8区では大津も区間賞で続いた。9区の田中は15キロ過ぎに右脇腹に痛みが出てペースダウンしたが再び10区の斎藤が区間賞の快走を見せた。往路に続いて復路でも新記録をマークし、2位に9分2秒差をつける、ぶっちぎりの総合優勝。酒井監督は「記録は想像以上だった。昨年の悔しさがあって総力戦で挑んだ結果です」と胸を張った。

 2011年1月3日。驚異の圧勝劇の全ては史上最小の21秒差で早大に敗れた悔しさから始まった。翌4日早朝6時から練習を再開。選手だけのミーティングを1週間も重ね全員がリポートを提出した。「一度チームをぶち壊して、再構築する時間をつくれた」(柏原主将)。前年までの2連覇から来た慢心、絶対的なエース柏原がいるがための甘えがあったことを認め、敗因を「勝ちたい思いの差」と結論づけた。

 早大との差は1人にして約2秒。「その1秒を削り出せ」をテーマに掲げた。以前は練習で柏原が先頭を走ることが多かったが他の選手が競うように前に出るようになった。震災後の節電で照明が使えなくなり、朝5時からの早朝練習が中心になったが「以前は深夜の1~2時に寝ることもあったが今は0時を回ることはない。スポーツマンらしい生活になった」と宇野は言う。柏原頼みのチームは柏原抜きでも戦えるチームに変貌した。

 柏原は高校時代、全国大会に出場できなかった。東洋大に高校のエリートランナーはいない。早大の渡辺監督は言った。「銅は金に勝てないと思っていましたが、銅は磨けば、くすんだ金に勝てることを東洋大に教わった」。来年は今大会区間賞を獲得した6選手中柏原以外の5選手が残る。4年前までシード権争いを繰り返していた中堅校は常勝軍団への礎をしっかりと打ち込んだ。

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