悲願の五輪メダルへ 美姫、3回転―3回転跳ぶ

[ 2011年5月2日 06:00 ]

エキシビションで演技する安藤美姫

 フィギュアスケート世界選手権の上位選手によるエキシビションが1日、ロシア・モスクワで行われ、女子で4年ぶりに金メダルを獲得した安藤美姫(23=トヨタ自動車)は東日本大震災の犠牲者へささげる「レクイエム(鎮魂歌)」を演じた。女王は、14年ソチ五輪での悲願のメダル獲得へ向け、来季から2連続3回転ジャンプで勝負する意向を示した。

 安藤は純白の衣装でエキシビションの「Why do People fall in love(どうして人は恋に落ちるのか)」(リンダ・エダー)をしっとり演じた。モスクワのファンの温かい声援と拍手を全身に浴びると、感極まって涙を流した。そしてアンコールには昨季SPで使用した「レクイエム」を選曲。モーツァルト作曲の「死者のためのミサ曲」の調べに乗り「日本に気持ちを届けたい」と静かに、そして力強く滑り、さらに大観衆を酔わせた。

 東日本大震災の影響で3月の東京開催が中止となり、1カ月遅れでモスクワに場所を移して開催された今大会。安藤は自分の滑りで「日本に元気が戻るといい」と信じてリンクに立ち続けた。この日、観客の日本人女性から「ありがとう」と声をかけられたという。安藤の金メダルで力をもらった日本人はどれほどいただろうか。「1人でもそう思ってもらえたらうれしい」とはにかんだ。

 来季へ向けた課題も明確になった。今季は連続ジャンプを3回転―2回転に難度を落とし、確実にジャンプを決めて、まとめることで6戦5勝の好成績につなげてきたが「完成度を高めて、3回転―3回転をやりたい」とキッパリと言った。既に2連続3回転の成功率を上げるために、国際大会の女子では誰も成功したことのない3連続3回転ジャンプを練習で導入。「1つ難しいことをやれば、3―3も簡単になる。練習では着氷しています」と手応えは十分だ。

 2日にはサンクトペテルブルクで行われる東日本大震災のチャリティーショーにも日本勢ではただ一人出演する。「五輪のメダルではないけれど、災害の後で意味のあるメダルになったかなと思う」。4年前にはなかった安定感を手に入れた23歳は大人っぽいほほ笑みを浮かべた。

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2011年5月2日のニュース