組長側と数千万円やりとり 元力士 ハンディ表も入手

[ 2011年1月27日 17:20 ]

 大相撲の野球賭博事件で、賭博開帳図利ほう助容疑で逮捕された阿武松部屋の元幕下山本俊作容疑者(35)が、賭博のノウハウを授けたとされる愛知県の指定暴力団山口組弘道会系組長=死亡=との間で約2年間にわたり、数千万円の現金をやりとりしていたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。

 組長側が山本容疑者に、賭博の勝敗を決めるのに必要な試合の「ハンディ表」を提供していたことも判明。

 警視庁組織犯罪対策3課は、組長側が胴元としての活動資金や「道具」を山本容疑者に渡して開帳を手助けする一方、山本容疑者は自分自身や客の賭け金のほか、賭博の収益を支払っていたとみて調べている。

 捜査関係者によると、山本容疑者は現役時代の2000年ごろ、親族から紹介された組長と名古屋市内で食事をして親しくなり、05年3月から組長配下の人物が主催する野球賭博の客になった。06年には「小遣い稼ぎができる」と組長から勧められ、力士らを客とする胴元を引き受けたとされる。

 組対3課は、山本容疑者と組長側の間で07年からの約2年間に、銀行口座を通じて数千万円の授受があったことを確認。組長が09年8月に死亡し、同11月に組が解散した後は、口座間の金の出入りもなくなったという。

 組長側は、野球賭博の勝敗予想の面白みを増すために、弱いチームにあらかじめ得点を加算する「ハンディ」の一覧表を、携帯電話のメールを使って山本容疑者に送信。山本容疑者は試合開始前、メールを客に転送、点差も考慮した予想と賭け金を受け付けていた。

 一方、山本容疑者の勧めで胴元側に加わった元十両古市貞秀容疑者(34)は、インターネットの野球関連サイトでハンディ表を入手していた。

((了)(H)(07)110127 171321

 【編注】▽阿武松(おうのまつ)▽山本俊作(やまもと・しゅんさく)▽古市貞秀(ふるいち・さだひで)

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2011年1月27日のニュース