がん克服の小田「朝青」モンゴルに敗れる

[ 2010年11月24日 06:00 ]

ガンゾリグ(左)に投げられる小田

 【広州アジア大会】レスリングの男子フリースタイル60キロ級決勝で、国士舘大4年の小田裕之(22)はモンゴルのマンダフナラン・ガンゾリグ(24)に敗れて銀メダルに終わった。

 1―1で迎えた第3ピリオド。小田は一方的に攻められ、屈辱のフォール負け。「攻めが足りなかった。だから負けた。銀メダルはあまり意味がない」と悔し涙を流した。
 吉田沙保里の実家が運営する一志ジュニア教室出身。昨年12月の全日本選手権初制覇で代表入りした期待の星は、7月に甲状腺乳頭がんが見つかり、10月に10日間入院して摘出手術を受けた。「言い訳にはしたくない」と手術の影響を否定したが、首に残る約15センチの傷あとは痛々しかった。
 VIP席では現在モンゴル協会名誉会長を務める元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジさんが観戦した。母国の今大会初の金メダルを喜ぶ一方で、試合後は小田に「これで終わりじゃない。次、頑張れよ」と声をかけた。レベルの高いアジアの軽量級の銀メダルは価値がある。「あの悔しい顔がいい。ああいう選手は好きだよ」。苦難を乗り越え、ロンドン五輪のメダル候補に名乗りを上げた日本のホープに、元横綱から賛辞が送られた。

 <元朝青龍、白鵬に「頑張ってほしい」>ダグワドルジさんは連勝が止まった白鵬について「負けた悔しさよりも、勝ち続ける苦しみの方が大きい。誰も分からない世界だよ」と気遣い「(白鵬には)頑張ってほしいし、魁皇にもね」とエールを送った。自身の今後については「(政界転身は)当分は(ない)ね。まだ30歳。戦いの場での気持ちが残っている。世界で通用する弟子を育てたい」とスポーツ界で活躍の場を見いだす意向だ。

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2010年11月24日のニュース