元琴光喜「力士に戻りたい」と地位保全仮処分申請

[ 2010年9月14日 06:00 ]

元大関琴光喜関

 野球賭博に関与し、7月4日の理事会で相撲協会を解雇された元大関・琴光喜(34=本名・田宮啓司)が13日、協会の解雇処分を不当として、力士としての地位保全を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。元琴光喜の代理人が明らかにした。

 元琴光喜は相撲協会の事情聴取に野球賭博の関与を否定する虚偽の報告をしたことや大関の地位が問題視され、現役力士では唯一人角界を追放された。その後代理人を通じ、処分の理由や経緯について相撲協会に質問状を送付。納得のいく返事を得られず、仮処分申請に踏み切った。代理人は「本人は力士として戻りたいと言っている。申請の中で、他の力士との処分の差がありすぎるとか(賭博問題を調べた)特別調査委員会の手続きに問題があるんじゃないかと指摘した」と話した。
 過去に協会に対して解雇不当を訴えたケースでは、力士暴行致死事件の元時津風親方(和解)、大麻問題で解雇された元若ノ鵬(取り下げ)と元露鵬、元白露山のロシア人兄弟(係争中)がいる。いずれも角界復帰は果たしていないが、刑法の専門家の板倉宏日大名誉教授は「(野球賭博問題では)他の力士や親方に比べ解雇は重すぎる。処分のバランスが悪い。仮処分が認められる可能性は50~60%あります」と指摘する。
 元琴光喜に近い関係者は「(本人は)あくまで現役に復帰したい気持ちを持っている」と語り、現在もしこやてっぽうなど独自に稽古を重ねているという。仮処分の結論は「早ければ1カ月で出る」(板倉名誉教授)見通しで、相撲協会が今後どのような対応を取るのか注目される。

 ≪放駒理事長「またかという感じ」≫元琴光喜の仮処分申請を受け、放駒理事長(元大関・魁傑)は「正直言って、またかという感じ。何でという気持ちもある」と心境を吐露。「理事会でウソを言ったことで、みんなが良い印象でなく悪い印象を持ってしまった」と残念そうに話した。協会としては提訴された場合には弁護士を立てて話し合うことになるが、村山副理事長(元東京高検検事長)は「(申請は)想定の範囲内」と冷静に受け止めている。

 ▼琴欧洲 (琴光喜は)相撲がうまかったから(指導する立場の)親方としてとかね。今は(協会内では)何もできないんでしょ?
 ▼魁皇 詳しいことが分からないから、まだ何とも言えない。

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2010年9月14日のニュース