特別調査委 賭博問題報じた新潮記者から聴取

[ 2010年7月28日 06:00 ]

 日本相撲協会の特別調査委員会(座長・伊藤滋早大特命教授)が27日、佐ノ山親方(元大関・千代大海)の賭博関与を報じた週刊新潮編集部の2人から“事情聴取”した。特別調査委は23日に週刊新潮へ調査への協力を求める「調査依頼書」を送付しており、週刊新潮側はこの日、東京・両国国技館を訪れて回答書を提出。調査委は長尾敏成委員(弁護士)が編集者から話を聞くなど、一時は「信用を欠く」とした記事の内容について本格的な調査を開始した。

 特別調査委の長尾委員は午後2時から両国国技館で、佐ノ山親方の野球賭博関与などの記事を担当した週刊新潮編集部のデスクおよび編集者の2人と面会。約1時間にわたって事情を聴いた同委員は内容については明らかにしなかったが、「(佐ノ山親方への)継続調査の一環で話を聞いた」と話した。

 佐ノ山親方は今月14日発売の週刊新潮で、野球賭博に関与していると報じられた。相撲協会には賭博に関与したとの上申書を提出していなかったため、特別調査委は本人らを事情聴取したが、「週刊新潮の記事は信用性を欠く」との判断を下していた。しかし、翌週に再び週刊新潮が、佐ノ山親方が名古屋や大阪などの裏カジノ店に出入りしているとし、元タニマチ(後援者)の証言として賭博で1500万円の借金をつくっていたと報道。特別調査委は23日に継続調査と週刊新潮に調査協力を求めることを決め、記事中に出てくる人物や店の住所などの質問を記した「調査依頼書」を同誌に送付した。これを受け、週刊新潮側は長尾委員に回答書を手渡し、4項目について口頭や書面で回答。8項目は拒否したが、うち3項目については条件付きで答える意向を伝えたという。

 週刊新潮は「回答書では違法賭博店の住所等について、報道機関として答えられる範囲で具体的に調査委員会にお伝えしました。弊誌は、角界の浄化を目指した調査についてでき得る限りのご協力をしたいと考えております」とコメント。佐ノ山親方を追い込むことになりかねない話が出てくることを承知で協力を求めた特別調査委は、「一部とはいえ、回答されたことは事案の解明にとって有益」と見解を発表した。今後は週刊新潮側が提示した条件を検討し、引き続き調査を続ける。

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2010年7月28日のニュース