広島大 84歳の競歩選手に博士号

[ 2010年3月23日 19:10 ]

 35歳以上が同世代と競うマスターズ陸上の競歩選手で、80~84歳の日本記録を持つ元会社社長天野孝三さん(84)=広島市中区=が23日、広島大大学院の教育学博士号(健康スポーツ科学)を取得し、広島県東広島市の同大で学位が授与された。

 博士論文のテーマは、中高年の陸上大会で競歩の参加選手が激減している原因の分析。「ひざを曲げて歩いてはいけない」と体の自然な動きに反した現行ルールが普及を妨げているとして、ウオーキングにより近い形に緩和するよう提言した。
 1925(大正14)年生まれの天野さんは、12歳で競歩を始め、28歳まで実業団選手として活躍。70歳で社長を退任したのを機に競技を再開し、2007年にイタリアであったマスターズ陸上の世界大会で銀メダルを獲得した。
 2000年、「マラソンに比べ人気の低い競歩を普及させるための研究がしたい」と研究生として広島大に入学。車で1時間かけて通学しながら、孫のような学生たちに交じって研究を続けた。河川敷を毎朝欠かさず10キロ近く歩き、病気らしい病気もしたことがない。
 学位記を手に「人間、目標を持つことが大事。必ず道は開ける」と語る天野さん。次の目標は、米国で来年開かれる世界大会での金メダルだ。

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2010年3月23日のニュース