丸ちゃん 涙の10年ぶり国内ツアー優勝

[ 2009年12月7日 06:00 ]

優勝トロフィーを手に笑顔の丸山茂樹

 【日本シリーズJTカップ】丸ちゃん、涙の復活V。4打差の4位でスタートした丸山茂樹(40=フリー)が64と爆発し、通算9アンダーで金庚泰(23=韓国)と並んでプレーオフに進んだ。4ホール目で息詰まる熱戦を制し、10年ぶりの国内ツアー10勝目を挙げた。石川遼ら若い世代の台頭に刺激を受けた実力者が、最終戦で健在をアピールした。

 18番グリーンに設けられた「お立ち台」。マイクの前に立った丸山は、途中でこみ上げるものを我慢できなくなった。「米ツアーでどこまでやれるかと思って9年間やってきて、挫折して、疲れきって。それで、こっち(日本)でも、なかなか…」と言葉をつないだところで感極まった。
 目頭を押さえ、時間を置くと「優勝スピーチで泣くのは初めて」と絞り出した。ここ数年のつらい思い出を洗い流すには涙が必要だった。
 激闘だった。「勝つには通算10アンダー前後が必要」と計算して最終日をスタート。9番で15メートルのチップインバーディーを奪うと、15番からは怒とうの3連続バーディーで首位に並んだ。プレーオフ4ホール目の18番パー3では、金庚泰と同じく第1打をグリーン右に外したものの、ジャストタッチで50センチにつけてパーセーブ。ピンまで同じような距離から1メートルまでしか寄せられなかった金庚泰を突き放した。
 米ツアーで日本人最多の3勝を挙げながら、飛ばし屋有利となった04年頃からドライバーに迷いが生じた。飛距離を求めようとしてショットが乱れアドレスに入った途端「気持ち悪くなる」というほどの不振に陥った。そこにひざ痛などの故障が追い打ちをかけた。
 「自分を取り戻そう」と日本ツアーに10年ぶりに本格復帰したが、なかなか結果が出なかった。さらに来季からルールが厳しくなるウエッジの溝規制を先取りしてウエッジを替えたことも低迷につながった。従来通りの溝ならボールが止まりやすいが、新ルールでは止まりにくくなる。頼みのアプローチまで波が生じるようになった。それでも、ドライバーを90年代に使用していたヘッドの小さいタイプに替え、以前のイメージを取り戻すと徐々に歯車が合いだした。
 最終組で回った前週のカシオワールドで「復活の予感があった」という。その時同組だった石川には「来年は一緒にやれる気がする」とライバルになることを宣言。早々に答えを出し「最後に試合で思いがかなってうれしい」と笑った。
 史上最年少の賞金王については「早く米ツアーに行って僕の3勝を抜いてほしい」とエールを送ったが、もちろんまだ負けるつもりはない。「(この優勝は)40代の一歩。「(彼らには)飛距離では勝てないけど、来年こそ丸山さんがまた来たな、嫌だなとか思われたいね」と若手の高い壁になる決意だ。

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2009年12月7日のニュース