2度目の挑戦で…日本の19年W杯開催決定

[ 2009年7月29日 06:00 ]

日本が2019年ラグビーW杯の開催地に決まり、笑顔を見せる日本協会の森喜朗会長(左)と神戸製鋼の大畑大介選手

 日本でのラグビーW杯開催が実現した。国際ラグビーボード(IRB)は28日、アイルランド・ダブリンで開いた理事会で15、19年のW杯開催地を選び、日本の19年大会開催が決まった。W杯がIRBの創設メンバーである8カ国以外で行われるのは初めてで、アジアでも初開催。11年大会に立候補してニュージーランドに敗れた日本は、2度目の挑戦で招致に成功した。15年大会はイングランドに決まった。

 東京・北青山の日本ラグビー協会で吉報を受けた森喜朗会長が声を弾ませた。「きょうはラグビーの神様が私たちにほほ笑んでくれた。日本ラグビーにとって歴史的な一日となった」。6月末、W杯を運営するラグビーW杯リミテッド(RWCL)が推薦した「15年イングランド、19年日本」の案が、IRB理事26人の投票で賛成16票、反対10票により可決。日本はこれまで伝統国にしか許されなかったW杯開催地に選ばれた。

 2大会の開催地をまとめて決める今回は日本、南アフリカ、イタリア、イングランド(15年大会のみ)の4協会が立候補。RWCLは日本について「アジアでの競技普及はラグビーの国際化につながる」とし、6月のU―20世界選手権の運営能力を評価して開催地に推薦した。だが、W杯開催を当然のように考えるイングランドにIRB理事の多くが嫌悪感を抱いたため、日本も楽観できない情勢となっていた。

 日本協会は今回、11年大会招致の際に情報戦で後れをとった反省から、07年フランスW杯大会委員長のクロード・アチェ氏をチーフ・エクゼクティブ・アドバイザーに招へい。これまでパイプのなかったラテン系理事へ積極的な働きかけを行った。また、ニュージーランドの英雄であるジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチの人脈も活用。各協会との信頼構築に努めたことが、最後は招致実現につながった。

 もちろん、開催へ向けては課題も多い。19年大会は9600万ポンド(約151億円)の拠出金を義務づけられているが、放送権はIRBが押さえているため頼れるのは入場料収入しかない。日本代表もW杯では過去1勝しただけと開催国にふさわしい実力はない。だが、人気低迷が続くラグビー界にとってW杯開催は復興の起爆剤となりうる。IRB理事会に出席した真下昇副会長は「まだ10年あるのでなく、もう10年しかないというつもりで準備を進めたい」と表情を引き締めた。

 ≪大畑「めっちゃくちゃうれしい」≫日本トップリーグキャプテン会議で代表を務め、キャップ数58を誇る大畑大介(33=神戸製鋼)は、日本協会で行われた会見に同席し「めっちゃくちゃうれしい。一ラグビーファンとして素直にうれしい」と喜びを爆発させた。その後「日本の代表がどれだけできるかが重要。日本トップリーグの発展なくして日本の発展なし」と話し、現役のリーダーとしての自覚をのぞかせていた。

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2009年7月29日のニュース