遼くんパニック…スイング改造“モメる”父と先生

[ 2009年3月25日 06:00 ]

石川遼(右)への指導について話し合う父・勝美さん(中)とマイク小西氏

 遼くんがスイング改造の途中で“迷路”に迷い込んだ。石川遼(17=パナソニック)は23日、フロリダ州オーランドのベイヒル・クラブでアーノルド・パーマー招待のプロアマ戦に出場。ホールアウト後には約4時間、練習場で打ち込んだ。新スイングを指導するマイク小西氏(63)がこの日から合流したものの、コーチの父・勝美氏(52)は一転、旧スイングへの回帰を指示。石川がついにパニックに陥った。

 約4時間も球を打ち続けたのに、石川の胸の内には釈然としない思いばかりが募った。
 「全部を忘れて新しいことに取り組んできたつもりだったので、以前のスイングの感覚はほとんど分からないです」
 この日からマイク小西氏が合流して新スイングにさらに磨きをかけるものと思いきや、練習場で“主導権”を握ったのはコーチの父・勝美氏だった。インパクトゾーンでのクラブの使い方や球のとらえ方など、改造どころか一転、以前のスイングに戻すように指示。それは石川にとっても想定外の“方針転換”だった。
 もともと、勝美氏は小西氏の理論に完全に同調したわけではなかった。同氏の理論を使ってトップからの切り返しや体重移動を無意識に行い、再現性の高いスイングを構築するのが狙いだった。「これからも行ったり来たりですよ」と新スイングから旧スイングへ戻し、またその新スイングに取り組む“シーソー方式”で完成度を上げる考えだという。約2週間取り組んできた経験を元のスイングに落とし込む作業をこの日から開始したのだった。
 だが、そうした意図を伝えられていなかった石川は戸惑いを隠せない。勝美氏と小西氏は共通理解をもつために前夜に何時間も話し合ったが「そこに僕の意見も入ればいいと思いますけど」とプレーヤーでありながら蚊帳の外に置かれた石川は不満げだった。
 元に戻すと一口にいっても、繊細なスイングは一朝一夕では以前の状態には戻らない。石川も「今までのスイングは全く覚えてない」と話した。新スイングと旧スイング、勝美氏の理論と小西氏の理論。まさに板挟み状態となった石川は「この先のスイングは、まだ真っ暗な状態」とポツリ。晴れやかな米ツアーでの戦いを前に、そのはざまで揺れる17歳の表情が苦しげだった。

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2009年3月25日のニュース