朝青龍“弟分”に吹っ飛ばされたWBCと10連勝

[ 2009年3月25日 06:00 ]

日馬富士の送り出しで初黒星をつけられた朝青龍

 大相撲春場所10日目は24日、大阪府立体育会館で行われ、2場所連続優勝を目指す朝青龍の連勝が9で止まった。右に変わった日馬富士に揺さぶられ、まさかの敗戦。昼寝の時間を減らしてまで熱中していたWBCの侍ジャパン連覇に花を添えるはずが、“弟分”に足をすくわれ、逆に自身の連覇に黄信号が点灯した。白鵬は千代大海を寄せ付けず10連勝で単独トップ。千代大海は負け越しが決まり、夏場所(5月10日初日、両国国技館)で史上ワーストとなる13度目のカド番を迎えることになった。

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 悔しさのあまり完全にわれを忘れていた。“弟分”日馬富士に翻ろうされた朝青龍は、支度部屋に戻ってもテレビモニターの前で立ち止まり、鋭い眼光で画面をにらみ付けた。本来ならまわしを外して風呂場に向かうが、冷静さを失った横綱は浴衣姿のまま直行。直後に「クソー!」のバ声が風呂場に響き渡った。
 対戦成績ではこれまで14勝2敗と圧倒していた日馬富士戦。立ち合いで張り手を見舞ったが、右に動いた日馬富士に横向きにされ、土俵際まで追い詰められる。いったんは残したが、上体が浮き上がった体勢ではなすすべなし。相手の出し投げに軽々と体が浮き上がり、無抵抗のまま土俵を割った。
 白鵬との一騎打ちムードが高まる中、10日目に土がついた。最近は負けても冗舌に振り返ることが多いが、この日は終始仏頂面。敗戦のショックで大好きなWBCの連覇の話題に触れる余裕もなく「相撲の流れから差していこうと思ったけど…。左差して四つになりたかった」と小声でつぶやくのみだった。
 帰り際、負けん気の強い男が珍しく弱音を吐いた。「きのうの相撲で左ひじを痛めたんだ。一日中冷やしたんだけど…」。前日の把瑠都戦。1分を超える長い相撲で、相手の巨体を持ち上げるなど古傷に負担をかけたのが影響したという。
 07年夏場所では初日から9連勝しながら10日目に安美錦に敗れ、花道で座布団を蹴り上げるなど大荒れ。その影響で12日目から4連敗を喫しただけに、単なる1敗では済まされない。侍ジャパンの連覇で気分を良くしていたはずが、まさかの落とし穴。自身の連覇に暗雲が立ちこめてきた。

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2009年3月25日のニュース